研究課題/領域番号 |
23300170
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
舟久保 昭夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00307670)
|
研究分担者 |
野中 一洋 東京電機大学, 理工学部, 助手 (50584182)
幡多 徳彦 東京電機大学, フロンティア共同研究センター, 助教 (00570946)
本間 章彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (20287428)
福井 康裕 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60112877)
|
キーワード | MBD人工肺 / Perfluorocarbon / 膜型人工肺 / マイクロサイズ / シリコーンホローファイバー / ガス交換能 / 数値流体解析 / 最適化設計 |
研究概要 |
本研究では、中空糸膜を用いずにPerfluorocarbon(PFC)と血液を直接接触させるガス交換を行うMBD人工肺(Micro Blood Drops Oxygenator)を提案し、MBD人工肺のガス交換能の検討、マイクロドロップ血液のガス交換能の理論化を基にしたシミュレーションによる最適化設計、シリコーンホローファイバーを用いたPFCガス交換システムの構築と最適化などを目的とした。 MBD人工肺のガス交換能の検討については、ニードルにおける血液球径、単位時間あたりの血液球数、血液球径における溶血性能およびガス交換能について実験を行った。その結果ガス交換性能はPaO_2=62.5mmHg、PaCO_2=27.0mmHgとなった。しかし、射出される球状血液のサイズがニードル外径φ0.40nmの際、2.0mm以下にマイクロサイズ化されないという問題点が挙げられた。またニードルによりPFC中に血液を射出する方式では、最大血液流量が6.0mL/min以上にはならなかった。以上の結果より、PFCと血液の両者を直接接触させることによりガス交換を行うことが可能であり、ガス交換の律速因子は血液サイズであることが明らかとなった。またニードルによる血液のマイクロドロップ化では、臨床での使用を想定した血液流量を得ることは不可能であった。そのため、種々の方法にて血液のマイクロドロップ化を行った。その結果、アスピレータを用いた方法では、球状血液のサイズを0.3±0.1mmにすることが可能になり、またガス交換能についてもPaO_2=300mmHg、PaCO_2=35mmHgと向上することが確認された。また、マイクロドロップ血液のガス交換能の理論化を基にしたシミュレーションによるMBD人工肺の最適化設計、シリコーンホローファイバーを用いたPFCガス交換システムの構築と最適化などについては現在検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液をマイクロドロップ化させることで良好なガス交換が可能であることが確認された。また,より微細にかつ均一なマイクロドロップを作製することがガス交換能の向上に影響することが判った。装置に関しては効率よくマイクロドロップを作製するための方法に関して種々の方法を試みた。その結果,霧吹きの原理でマイクロドロップを作製する方法が高ガス交換を得るために良好な方法と考えられたが,赤血球の破壊(溶血)が多く生じることとなった。今後,この方法を用い圧力やマイクロドロップ化する際の流路内部の剪断応力などの再計算を行いこの問題を解決していく必要がある。ガス交換に関しては,ほぼ満足行く結果が得られたものの,溶血の問題が残されておりこのため達成度を(2)とした。
|
今後の研究の推進方策 |
装置内の流体解析に基づいて装置設計および作製し、性能評価の結果をフィードバックして開発を進める。
|