研究課題
心臓の血液ポンプ機能は心筋の量と性質、そして心室形態によって決まる。その制御は自らを取り巻く環境からの情報を感知して、変化に適応する形で行われる。本研究では、哺乳類心臓の出生時における細胞分裂停止・肥大促進メカニズムのトリガーとしての酸素分圧上昇の作用を検討するために、マウス胎児培養心筋を用いて異なる酸素環境下で観察する方法を確立して心筋細胞が分裂する様子を経時的に記録することに成功し、酸素分圧上昇が心筋細胞分裂を停止させることを定量的に評価できた。また、マイクロアレイ解析により酸素分圧上昇により発現量の変化する遺伝子をリストアップし、対象となった細胞周期、代謝などに関連する遺伝子を抑制することで細胞分裂能の変化を検討した。更に、成体となった後の機械的負荷に対する心臓機能・形態の維持機構解明として、伸展感受性非選択的カチオンチャネルであるTRPV2を薬剤誘導性に心筋細胞でノックアウトするモデルマウスを作成した。薬剤誘導性にTRPV2をノックアウトにより左心室径拡大、動脈圧低下、心電図QRS延長が認められ、組織標本にて介在板構造の崩壊が観察された。単離心筋を使った収縮率評価では心臓全体としての機能低下とは異なり収縮能が維持されていた。これらの結果よりTRPV2が心筋細胞間の張力伝達や電気的興奮の伝達を担う介在版の構造的・機能的維持に不可欠な役割を果たしていることを明らかにし、そのメカニズムとしてIGF-1の関与が明らかにした。また、心筋細胞の肥大を制御している因子であるカルシウムの輸送体として 心筋細胞のCa排出系であるNa-Ca交換体に注目し、心筋特異的Na-Ca交換体強発現マウスに対する大動脈結紮心不全モデルを用いてその強発現が心筋細胞のT管構造維持と心機能低下抑制効果があることを明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: 未定 ページ: 未定
doi 10.1038