研究課題/領域番号 |
23300172
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
清水 壽一郎 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (80294403)
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研究分担者 |
中村 一文 岡山大学, 大学病院, 講師 (10335630)
片岡 則之 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20250681)
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キーワード | 心筋発達 / ラット / 筋線維 / X線回折 / 筋節構造 |
研究概要 |
新生児ラット心筋構造の発達過程を解析するために、本年度はまず、超音波によるラット新生児の心筋発達についての解析を行った。生後0日齢の心臓は壁厚約0.5mm、拡張期左室内径約2.0mmであるが、三週間後には壁厚約1.0mm、拡張期左室内径約3.5mmへ成長していることを確認した。また収縮期左室内径は各日齢においても約0.7~1.0mmであり、日齢間で大きな変動が見られないのも特徴であることが確認できた。電子顕微鏡による解析では、0~1日齢の心筋組織では筋線維の配列自体が不整であり、筋線維の走行方向も三次元的に乱雑な様相を呈している。また、心筋収縮のエネルギーを供給するミトコンドリアについても、クリステ構造が十分に発達していないことが明らかとなった。このような心筋も14日齢では筋線維配列、配向ともに整然とした様相を呈し、21日齢ではほぼ成体ラットと同様の構造を示す様になった。免疫蛍光染色による筋節構造の発達過程についての解析では、筋線維と同様に0日齢では筋節間隔のばらつきが非常に大きく、また、筋線維構造の脆弱性が認められた。これらの新生児心筋の特徴も、14日齢~21日齢ではほぼ成体の心筋筋節構造と同様のイメージを得ることが出来た。さらに、大型放射光施設SPring-8を使用した0日齢から21日齢までのラット心筋のX線回折実験のデータ解析から、成体心筋が二重の同心円状あるいは二重の同心円弧状のX線回折像を示すのに対し、0日齢では二重構造すら認められない散乱像が得られた。7日齢ではぼやけた二重構造が認められるが、14日齢ではより明瞭な二重構造となり、21日齢では成体心筋と同様の二重同心円状あるいは二重円弧状の回折像が得られることを確認した。現在、回折像から筋線維の乱雑性を定量的に評価するための画像処理を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋の構造的な発達過程に関する解析はほぼ完了し、次年度以降では機能的な発達過程に関する解析に重点を置いて研究を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
心筋の機能的発達の解析に於いて、収縮力評価とそれに関わる心筋細胞内カルシウム動態の評価が必要となる。今後、蛍光指示薬によるカルシウム動態解析系を整備し、順次解析を遂行する。
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