研究概要 |
外部環境変化を的確にセンシングし、それに対応する構造変化というプロセシングの過程を経て、細胞内の定められたポジションでDNAが転写されやすい状態へと変化するエフェクター機能を高分子材料へ創り込むことにより効果的な遺伝子発現を示すインテリジェント・ナノキャリアを構築するという本研究の目的を遂行するために、エフェクター機能発現機構の解明に重点をおいて研究を行った。 世代数3, 4のpolyamidoamine (PAMAM) dendronを合成し、その先端部へ分子量2000, 5000のpoly(ethylene glycol) (PEG) 鎖を導入することにより排除体積の異なる多分岐PEGを得た。この多分岐PEGのフォーカルポイントより重合反応を行うことによりDNAとのpolyplex形成部位となるpoly(L-lysine) (PLL) を導入した。 多分岐PEG部の排除体積に依存して形成されるポリプレックスのアスペクト比が異なり、大きなものほど、アスペクト比が増加することが確認された。さらに、高アスペクト比のポリプレックスは、ナノファイバー状のポリプレックスとなった。このナノファイバーポリプレックスと遺伝子導入試薬であるリポフェクタミンの複合化を行うことにより高効率な遺伝子導入効率が達成されることが確認された。
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