研究課題/領域番号 |
23300181
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
石原 雅之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 教授 (10508500)
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研究分担者 |
藤田 真敬 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (20525927)
石原 美弥 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (30505342)
前原 正明 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (70124956)
清澤 智晴 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (90221217)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生体材料 / 生物・生体工学 / ナノ材料 / 移植・再生医療 / 再生医学 |
研究概要 |
平成24年度は次の3テーマについて研究を実施した。 1.機能性たんぱく質及び細胞のための局所投与用デリバリーシステムの研究・開発: 顕著な効果が期待できるシステムとして、新たに確立した方法により製造したフラグミン/プロタミン ナノ粒子(F/P NPs)によるFGF-2、HGF(肝細胞増殖因子)、血管新生因子を高濃度で含む自己血漿画分であるPRP(多血小板血漿)に含まれるヘパリン結合性サイトカインのデリバリーシステムの研究を実施した。また脂肪組織由来間葉系細胞(ASCs)、骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCs)からなる細胞・F/P NPs凝集体を含んだ細胞移植用血漿・培地ゲルの作製、及びそれらの物性について検討し、生体内への細胞移植についての臨床応用に対する有効性・安全性の確証を得た。 2.医師主導臨床実験の実施: ウサギやラット等小動物の末梢虚血疾患モデルに対してFGF-2やPRPに含まれるサイトカインのキャリアとしてF/P NPsを用いて、末梢虚血疾患治療のための各種試験(有効性、安全性、安定性)を実施した。形成外科領域のPRP/ F/P NPsによる育毛治療については、防衛医科大学校倫理委員会の実施承認を受け医師主導の臨床実験を実施し、ヒトでの有効性・安全性を確認している。今後は末梢虚血疾患や難治性創傷治療への適用の可能性を検討してゆく。 3.ASCs、BMSCs及びCD34陽性造血系前駆体細胞の増幅における、機能性マトリックスとしてのF/P MPs・F/P NPsの応用: F/P NPsとサイトカインとの併用により機能性マトリックスとして適用することで、再生医療において必要なヒト間葉系幹細胞(ASCs、BMSCs)の効率的な増殖及び移植が可能となる低血漿(2%)培地3次元培養法及び移植法の最適条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各テーマは、ほぼ当初の計画以上に進んでいるが、BMP-2(骨形成タンパク質2)及びGM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)のキャリアとしての検討にまだ着手していない。しかしながら、F/P NPsの安定な製造法とその各種サイトカインキャリアとしての適用については計画以上の成果があがっている。したがって、現在までの達成度を「②おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
臨床使用実績のある血管新生因子を高濃度で含む自己血漿画分であるPRPのためのキャリアの作製、及び脂肪組織由来間葉系細胞(ASCs)、骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCs)、骨髄CD34+ 造血系前駆体細胞とF/P MPs・F/P NPsからなるスフェロイドの作製、及びスフェロイド含有三次元自己血漿・培地ゲルを用いた細胞導入についてin vivo実験を中心に検討することを今後の推進方策の要とする。また各種幹細胞(万能(iPS)細胞を含む)の三次元血漿・培地ゲル培養法の適用を検討し、増殖及び分化誘導・制御を可能とする動物血清やフィーダー細胞を用いることなく、F/P NPsと適切なサイトカインを併用した増殖・分化誘導培地法の確立を目指す。さらにASCsやBMSCsに本三次元血漿・培地ゲルを適用した局所細胞移植法の可能性を検討する。臨床実験については、形成外科領域のPRP/ F/P NPsによる育毛治療の医師主導の臨床実験を実施し、ヒトでの有効性・安全性を確証しているが、今後はさらに末梢虚血疾患や難治性創傷治療臨床実験への適用の可能性を検討してゆく予定である。
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