研究課題/領域番号 |
23300187
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
桑原 義彦 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313932)
|
研究分担者 |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
竹前 忠 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20115356)
小倉 廣之 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50402285)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | マンモグラフィ / UWBレーダ / トモグラフィ / マイクロ波 |
研究概要 |
当初研究計画では平成24年度は1.偏波ダイバーシチの適用による分解能の向上,2.撮像時間の短縮,の実施を予定していた。あわせて,平成23年度の研究の遅れにより、開発した診断機器での臨床試験を実施する計画であった。 今年度は以下の事項について成果を得た。臨床試験の実施:癌患者7名について臨床撮像を行った。うち1名は機材の設定ミスにより撮像に失敗したが,6名については所期の臨床画像を得ることができた。これはわが国では初,世界では3番目の成果である。6名の内訳は,T1が4例,T2が2例で,直径1.2cmの初期癌や,X線マンモグラフィで検出しにくい直径1.5cmのDuctal Carcinoma In Situも捉えることができた。偏波ダイバーシチの適用による分解能の向上:UWBレーダベースのマイクロ波マンモグラフィについて偏波ダイバーシチの効果を計算機シミュレーションで評価したが期待した改善は認められなかった。また,臨床試験より直径1.2cmの初期癌も検出できたことからUWBレーダベースでの偏波ダイバーシチの適用は見送ることにした。撮像時間の短縮:当初計画では撮像時間の短縮のためパルスレーダを開発する計画であった。しかし,23年度購入したネットワークアナライザの測定速度が速く,制御ソフトウェアの見直しによって撮像時間を従来の1/6に減らすことができ,臨床試験への支障がなくなった。3次元トモグラフィプログラムの開発:当初計画では25年度実施事項であったが2,3項の検討に時間を要しなかったので前倒しで実施した。開発したプログラムでシミュレーション評価したところ,現在のUWBレーダベースの機材にトモグラフィを適用することは困難との結論を得た。このため新たなセンサーと制御機の設計を行った。予算の繰り越しを行い,試作を25年度中に終了することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
24年度繰り越し手続きを行い,トモグラフィ用のセンサーを25年度に開発した。1回目の試作評価ではセンサー内に多重反射が発生し,期待した性能を得ることができなかった。このためセンサーを見直して再試作した。制御機に必要な部品(輸入品)の入手が遅れたこととあいまって,25年度にハードウェアの製作は完了したが,評価試験が未実施の状況である。このため,25年度に再度繰り越しを申請した。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度トモグラフィの高速画像処理アルゴリズムを考案したが,このアルゴリズムとハードウェアを結ぶインターフェースプログラム(校正プログラム)の開発が未実施であるため,校正プログラムを開発する。撮像装置の制御プログラムをトモグラフィ用に改めたのち,ファントムによる評価を経て,臨床試験を行う。
|