研究課題/領域番号 |
23300188
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森川 茂廣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60220042)
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研究分担者 |
仲 成幸 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (10359771)
来見 良誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70205219)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 低侵襲治療システム / MR画像誘導手術 / ナビゲーションシステム / 通常MR装置 / 穿刺支援ロボット |
研究概要 |
2年目にあたる24年度は、初年度に導入した光学式の位置センサ(Polaris)と、マグネット内で使用する電磁式位置センサ(EndoScout)を統合したナビゲーションソフトウェアを外部PC上に開発することに取り組むとともに、以前の科研費のプロジェクトで開発した、指定したターゲットを非磁性の超音波モーターを使って、自動追尾するオープンMRシステム用の穿刺支援ロボットをこの研究プロジェクトのために改造した。その結果、磁石内で精細な3D撮像を行って、ターゲットの位置座標を得た後、対象物を磁石外に引出し、この穿刺支援ロボットを使用してシームレスなナビゲーションを行い、指定したターゲットの自動追尾を実現した。ハンドピースの方向を変化させるとロボットの台座が移動して正確にターゲットに照準を合わせるとともに、直ちに穿刺経路に沿った直交2断面の再構成画像を磁石室内のシールドモニターに表示することにより、術者は障害物のない安全な穿刺経路を容易に選択することが可能となった。穿刺操作は術者がマニュアルで行う。寒天ファントムと15cmの穿刺針を用いた精度の評価実験によれば、誤差は2mm程度で十分実用に耐えうるものでることが証明された。また本システムによる穿刺については、リアルタイム画像でのモニタリングができないため、穿刺結果の確認のための撮像が必須となる。そのための機能として、穿刺後の針の位置と方向をナビゲーションソフトに記憶させておき、再び対象をマグネット内に挿入して、直ちに穿刺針に沿った撮像面を外部PCからMRシステムを制御して指定し、撮像を行うことによって、確認することが可能となった。 こうした成果は2012年9月にボストンで開催された9th Interventional MRI Symposiumで発表し、高い評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画は、トンネル型のマグネットで対象を出し入れして、内側と外側でのナビゲーションをレジストレーションなどの煩雑な操作なしにスムーズに行えるシステムの構築を目指していた。光学式の位置センサ(Polaris)と、マグネット内での電磁式位置センサ(EndoScout)を用いるハイブリッド型センサの構築とそれらの位置情報を統合したナビゲーションシステムは、予定通り作成することができ、当初の期待通りに動作した。 それに加えて、当初は予定に入っていなかった、MR対応の穿刺支援ロボットを改造して、本研究に組み合わせて応用し、指定した標的を自動追尾するとともに穿刺経路に沿った再構成画像を表示して、ナビゲーションと穿刺の利便性、安定性が大きく向上した。 また、外部のPCから、光学式センサの位置情報によってMRシステムを制御することに関しては困難が予想されたが、GEヘルスケアのHaque博士の協力により、予定通りクリアすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは寒天ファントムを用いた評価実験を行ってきたが、最終年度である25年度は、イヌやブタなどの中型~大型の実験動物を用いて穿刺実験を行う予定である。動物を対象とする場合、動物のベッドを穿刺しやすいように移動させる必要が生じる可能性がある。その対策として、ベッドの移動・回転を行っても、あらかじめベッドに光学式センサを取り付けておき、その位置の変化から再度のキャリブレーションなしにナビゲーションを可能とするモーションコンペンゼーションの機能を追加する予定である。また、現在のナビゲーションシステムは、様々な機能を盛り込んだ結果、複雑な操作が要求され、必ずしもユーザーフレンドリーとは言い難い。本研究期間内に、MRシステム、ロボットシステム、ナビゲーションシステムを統合することは不可能であるが、より簡単な操作で連携が可能となるようなシステムに改良したいと考えている。動物実験を通じてシステムの問題を洗い出し、臨床にも応用可能なナビゲーションシステムにまで仕上げることを最終年度である今年度の研究の目的とする。
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