研究課題/領域番号 |
23300190
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
千田 彰一 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (30145049)
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研究分担者 |
舛形 尚 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (70263910)
椎名 毅 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40192603)
犬飼 道雄 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (60572667)
樋本 尚志 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20325343)
合田 文則 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (90294769)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 心血管組織 / 硬さ / 高周波超音波 / 左室拡張能 / 脈波速度 / 動脈硬化 |
研究概要 |
動物実験による組織歪み評価に基づく組織の硬さ計測解析ソフトの開発 1.動脈壁硬さ指標の計測:イヌ大動脈各部で、血管内に挿入したカテーテルから得られる血管内圧と血管局所の心周期に伴う壁厚変化から動脈壁局所の壁応力を計測した。同時に心臓超音波検査のストレインイメージングを用いて計測したストレイン値から一心周期における動脈壁応力―ストレイン関係(曲線)を求めた。この関係曲線から動脈壁の固有の弾性を算出した。 2.左室壁硬さ指標の計測:左室内でも同様に心血管組織壁応力―ストレイン関係(曲線)を求め、左室壁の硬さ指標を計測した。左室壁応力は、安静収縮期に、最大左室収縮期圧(左室収縮末期径)/4左室収縮期壁厚(1+左室収縮期壁厚/左室収縮末期径)の計算式を用いても計測し、比較検討を行った。 臨床例での検討:心筋梗塞・脳卒中既往患者の腹部大動脈を対象として腹部大動脈圧、左室圧を計測すると同時に腹部大動脈壁および左室壁での心臓超音波検査のストレインイメージングを記録し、腹部大動脈壁および左室壁の壁応力‐ストレイン関係(曲線)を求めた。この関係曲線から大動脈壁および左室壁弾性の評価を行った。さらに高血圧、糖尿病、脂質異常症など動脈硬化危険因子との関係を検討し、動脈硬化とこれらの心血管組織硬さ指標との関係を検討した。臨床で汎用される動脈の硬さ指標である脈波伝搬速度、Cardio-Ankle Vascular Index (CAVI)との関連を検討した。さらにエラストグラフィの手法を用いて、心血管組織の硬さ分布を画像表示するソフト作成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動脈壁硬さ指標の計測と、ストレイン値に基づく左室壁硬さ指標の計測から得られた動脈壁硬さ―左室ストレイン関係曲線から動脈壁と左室壁の固有の弾性を求める指標の開発は達成できた。さらに、生活習慣病患者を中心とした臨床例において、本指標と臨床で汎用される動脈の硬さ指標である脈波伝搬速度、Cardio-Ankle Vascular Index (CAVI)、心臓超音波での左室拡張能指標との関連の検討も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
抗加齢を目指した運動療法、食事療法、抗酸化物質投与を行い、治療効果判定を行う。また、降圧薬の種類の差が心臓年齢に及ぼす効果を調査する。初年度に開発した心血管組織の硬さ評価指標を用いて以下の介入の治療効果を検討する。 1.抗加齢を目標とした運動処方の効果検討:前述の心臓年齢評価で実年齢相当と診断された健常者、生活習慣病患者のうち65歳から74歳までの前期高齢者100人と75歳以上の後期高齢者100人を対象として、運動処方を行い、トレーニングが心臓年齢の改善あるいは老化進行を遅らせる効果をもたらせるか否かを検討する。運動処方は自体重負荷による筋トレとウオーキングによる有酸素運動に分けて処方し、1年以上の継続が可能であった対象者に心臓年齢、血管年齢、脳虚血性変化、腎障害の計測を運動療法期間前後で行い、運動療法の効果を検討する。 2.抗加齢を目標とした食事療法の効果検討:65歳から74歳までの前期高齢者100人と75歳以上の後期高齢者100人を対象として、たんぱく摂取量、エネルギー量設定、食物繊維摂取量に関する食事指導を行う。1年以上の継続が可能であった対象者に心臓年齢、血管年齢、脳虚血性変化、腎障害の計測を運動療法期間前後で行い、運動療法の効果を検討する。 3.抗酸化物質の効果検討:抗酸化物質として、ビタミンE,コエンザイムQを投与する。1年以上の継続摂取が可能であったものに対して心臓年齢、血管年齢、脳虚血性変化、腎障害の計測を投与前後で行い、抗酸化物質の効果を検討する。 4.アンジオテンシン受容体阻害薬とカルシウム拮抗薬による抗加齢効果の比較検討:高血圧症例を対象としてアンジオテンシン受容体阻害薬内服群とカルシウム拮抗薬内服群に分類する。1年以上の追跡を行い、アンジオテンシン受容体阻害薬群とカルシウム拮抗薬群で心臓年齢、血管年齢などの計測を行い、両群間の違いを検討する。
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