研究課題/領域番号 |
23300192
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
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研究分担者 |
高橋 秀依 帝京大学, 薬学部, 教授 (10266348)
小田 雄介 帝京大学, 薬学部, 助手 (80505941)
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 准教授 (90384784)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超音波 / リポソーム / 低侵襲治療 / マイクロバブル |
研究概要 |
In vivoにおける診断と治療に充分な安定性を持ち、ナノバブルと遺伝子や抗がん剤が共存する構造を持つリポソームを新規開発する。リポソーム内に安定に存在することができて、相変化超音波照射に応答してマイクロバブルに変化できるようなナノバブルミセルを、フルオラスケミストリーに着目したフルオロリン脂質F-DPPCを用いて調製した。具体的には、F-DPPC:DSPC:DSPE-PEG2000をミセルの外殻物質とし、パーフルオロペンタン(C5F12 bp: 29℃)とパーフルオロヘキサン(C6F14 bp: 58-60℃)を用量比で1:1で混合した液滴を用いて、500nm程度のナノバブルミセルを調製した。 フルオロリン脂質F-DPPC及び2F-DPPCの合成については、収率が非常に低いため、効率的な合成法を引き続き検討することとした。しかし、2F-DPPCについては、そのナノバブルミセルの安定性がF-DPPCからなるナノバブルミセルよりも低いことが示され、今後F-DPPC:DSPC:DSPE-PEG2000を中心に進めることとした。 本研究で見出した新しい調製法である、密封チューブ式ホモジナイザーを用いた方法でバブルリポソームを調製した。機能性バブルリポソームとしてRGD-バブルリポソームを調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パーフルオロカーボン(PFC)ミセルの外殻物質として合成しているフッ化脂質1-Palmitoyl-2- (16-Fluoropalmitoyl)-sn-Glycero-3-Phosphocholine(F-DPPC)および2F-DPPCの収率が低く、収率を上げる合成経路の検討に時間を要した。そこで、F-DPPC:DSPC:DSPE-PEG2000を基本としたバブルリポソームに集中することにした。血栓溶解を目的とし、血栓標的分子としてRGDをバブルリポソームの膜に挿入して標的指向性を持たせるために、DEPE-PEG-RGDを作成した。試験管内に作製した血栓にRGD-バブルリポソームを添加し、造影効果とキャビテーションによる崩壊溶解について検討した。その結果、人工の血栓の塊に結合した。その様子は、超音波造影装置で輝度の増加で確認出来た。t-PAとの併用による高効率血栓溶解療法につながると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
F-DPPC:DSPC:DSPE-PEG2000を基本としたバブルリポソームに対して、その膜にDEPE-PEG-RGDを挿入してRGD-バブルリポソームとする。試験管内に血栓を作成し、本バブルリポソームを添加し、造影効果とキャビテーションによる崩壊溶解について検討する。ラットの総頚動脈に40%塩化鉄の刺激により血栓を作成し、小動物用超音波画像診断装置(VEVO 2100)で血栓をモニタリングしながら尾静脈よりRGD-バブルリポソームを投与し,RGD-バブルリポソーム投与前後の血栓部位の画像を画像解析ソフト『Image J』で輝度解析および輝度の変化を評価する。
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