研究課題/領域番号 |
23300193
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
根岸 洋一 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50286978)
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研究分担者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
高木 教夫 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50318193)
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キーワード | 超音波 / 筋ジストロフィー |
研究概要 |
H23年度計画では、新規バブルリポソームの調製法と物性評価、ペプチド修飾PMOの合成法の最適化とその機能解析を行なった。 アニオン性脂質を含有させたポリエチレングリコール修飾リボソーム(PEG-リボソーム)を新規調製した。粒子径200nmのリポソームを作製し、超音波造影ガス(パープルオロプロパンガス)を封入したところ、500nmのバブルの調製に成功した。調整されたバブルの造影ガスの保持率を超音波造影装置(ネッパジーン社)にて調べたところ、およそ60分まで、ガスが安定に保持され、造影効果が維持されていることが示されたことから、安定なバブルリポソームであることが明らかとなった。作製したアニオン性脂質含有バブルリポソームに正電荷物質が搭載できるかを調べるために、アニオン性脂質含有バブルリポソームに蛍光修飾ペプチドを添加し、複合体の形成程度をプローサイトメトリーにて解析した。その結果、ペプチド添加量依存的な結合量の増加が示された。このことから、本ペプチド修飾分子の新規調製バブルへの搭載が容易となることが明らかとなり、有用なDDSキャリアーとなることが期待された。 さらに細胞親和性ペプチドを結合させたモルフォリノオリゴヌクレオチド(ペプチド修飾PMO)の合成を行なったところ、その収率は、およそ60%ほどであった。次に作製されたペプチド修飾PMOの機能を確認するために、ジストロフィンモデルマウス(mdx)の筋組織へと投与し、導入に伴うエクソンスキッピング効率を免疫染色法(ジストロフィンタンパク質発現)にて調べたところ、ペプチド未修飾PMOを投与した場合と比較して、ペプチド修飾PMOを投与した群において、顕著な発現上昇が認められた。これは、RT-PCR法による遺伝子発現解析においても同様の結果を示した。上記の技術を融合させることで、効率的なPMOの導入システムが確立できるものと期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非常に安定かつペプチド修飾分子を搭載できる有用なアニオン性脂質を含有させたポリエチレングリコール修飾バブルリポソームの作製に成功した。さらに今後、本バブルに搭載するペプチド修飾PMOの合成も最適化され、比較的、安定した収率で合成できることがわかった。さらにこのペプチド修飾PMOは、ジストロフィン遺伝子の発現回復能が非常に高いことも明らかとなった。これらのことから、研究計画が順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度で調製されたアニオン性バブルリポソームの安全性(遺伝子導入時や脂質自身の毒性)を明らかにするとともに、新規合成したペプチド修飾PMOをバブルリポソームとともに筋組織導入後、超音波照射を行い、効率的なPMO導入とそれに伴う治療効果(エクソンスキッピングよるジストロフィン発現等)が得られるか否かについて、検討を加え、得られた結果をもとに導入法の最適化を行なう。
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