研究課題
本年度では、バブルリポソーム(BL)と超音波照射による筋組織への導入法の向上と安全性の評価を進めた。はじめに超音波イメージング装置を用いて、アニオン性脂質含有BLのイメージング画像(心エコー)を取得し、アニオン性脂質含有BLのin vivoでの安定性を評価した。その結果、DPPCやDSPCを構成脂質としたBLと比較して、格段に安定であることが判明した。次に治療用超音波照射後の体内分布を調べるために、蛍光標識PMOを用いて調製したPMO搭載BLをmdxマウスに尾静脈内投与し、体外から治療用超音波(1 MHz)を照射後、照射部位の筋組織、特に導入が困難とされている心筋への移行性について、蛍光顕微鏡を用いて組織学的に解析したところ、血管外の心筋組織へと移行し、心筋組織に導入されていることが観察された。また、導入に伴うジストロフィン陽性線維数は、PMO投与単独と比較して、BLと超音波照射の併用群において顕著な増加を認めた。次にアニオン性脂質含有BLの静脈内投与後の安全性を調べるために、マウス赤血球と調製したBLとを混合することで、赤血球の溶血と凝集試験を行ったところ、アニオン性脂質含有BLによるその溶血や凝集反応は、ほとんど認められなかった。さらに調製されたBLをマウスに尾静脈内投与し、経皮的に体外からの心臓への治療用超音波(1 MHz)を照射後、心機能に与える影響を超音波イメージング(心エコー)解析したところ、照射前と照射後において、ほとんどエコーパターンに差を認めなかった。また、筋組織の障害マーカーであるクレアチンキナーゼの血清中での変動も認められなかったことから、導入法の安全性が示された。以上より、BLと超音波照射による筋組織への核酸導入法は、安全かつ投与量を低減化させる有用な手法となりうるものと期待された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Pharmaceutics
巻: 11 ページ: 1053-1061
10.1021/mp4004755