研究課題
長期的運動の降圧や腎保護効果の機序を明らかにするため、高食塩食負荷(HS)に伴う腎障害の発症・進展およびレニン・アンジオテンシン(RA)系に対して長期的運動が与える影響について検討した。雄性Dahl食塩感受性ラットを0.5%通常食塩食摂取+非運動群、通常食塩食摂取+運動群、8%高食塩食摂取+非運動群、高食塩食摂取+運動群の4群に分け、運動群にはトレッドミル運動を8週間実施した。また、雄SHR/NDmc-cpラットを非運動群と運動群の2群に分け、運動群にはトレッドミル運動を8週間実施した。HSは血圧を上昇させたが、長期的運動は血圧に有意な影響を与えなかった。HSは蛋白尿と糸球体硬化を有意に増加させ、長期的運動はそれらを有意に抑制した。クレアチニンクリアランスはHSにより有意に低下したが、長期的運動により有意に改善された。腎のAngiotensinogen発現はHSにより増加し、このHSによる増加は長期的運動により髄質でのみ有意に抑制された。Renin発現はHSにより皮質と髄質で減少し、このHSによる減少は長期的運動により有意に抑制された。AngiotensinII 1型受容体発現はHSにより髄質でのみ増加し、このHSによる増加は長期的運動により有意に抑制された。AngiotensinII 2型受容体はHSにより皮質と髄質で減少し、この減少は髄質でのみ長期的運動により抑制された。Angiotensin-(1-7)の受容体であるMas受容体はHSにより皮質で増加、髄質で減少し、髄質での減少のみ長期的運動により抑制された。また、SHR/NDmc-cpラットにおいては、長期的運動により体重、血圧、血清脂質の改善が認められた。以上の結果から、食塩感受性高血圧ラットにおいて長期的な運動は腎保護作用を有し、高食塩食負荷によるRA系の変化を特に髄質で回復させる可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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