研究課題/領域番号 |
23300198
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中澤 公孝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90360677)
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キーワード | 歩行 / 脊髄 / リハビリテーション / 運動制御 |
研究概要 |
本研究の最終的な目的はヒトの二足立位歩行制御に関与する脊髄神経機構の構造と機能を解明することにある。この目的に迫るために、本研究では二足立位歩行の制御系を、(1)姿勢維持のための筋トーヌス生成系(TONE系)と(2)「下肢の歩行リズム発生系(CPG系)に分ける。そしてそれぞれの系の構造と機能に関する次の課題を解決することを目標とする。課題1:ヒトの歩行リズムと筋トーヌスを発生する脊髄神経機構を賦活し、その性質を調べるための実験系の確立、課題2:両系を発動するのに必要な上位中枢からの脊髄内下行路の同定、課題3:両系を発動あるいは活動を変調する感覚入力の解明。課題4:TONE系とCPG系を構成する脊髄神経回路のモデル化、であった。当該年度の研究目標は「研究期間を通して行う実験系を確立する」ことであった。具体的には、水中環境およびトレッドミル上、それぞれで健常者でのステッピング(歩行様筋活動)の誘発と荷重量のシステマティックな調整が可能な実験系を確立することを目標とした。水中実験は当初、噴流装置を用いたステッピング誘発装置を製作する予定であったが、制作費に予定以上のコスト発生が見込まれたことと、水中でステッピング様運動を実現する新たな装置(水中用ステッピングマシーン)の使用が可能となったことから、噴流装置の製作は取りやめた。当該年度は水中ステッピングマシーンを用いた水中でのステッピング中に下肢筋群の筋活動電位計測と関節運動を計測するシステムの構築を達成し、既に健常者での実験を行っている。しかし腱振動装置の使用は感電の危険性が除去できなかったため見合わせた。以上、水中実験に関しては腱振動装置の使用以外ほぼ当初の目標が達成できた。次にロボット型歩行訓練装置Lokomatを用いた陸上での実験に関しては、腱への振動装置を装着しての実験を行うことができ、これも当初の目標をほぼ達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の項で述べたように、当該年度の目標に対しては水中実験での腱振動刺激装置の仕様以外ほぼ達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
水中での振動刺激や電気刺激は感電の危険性を伴うため、慎重にならざるを得ない。その危険性が100%払しょくできなければ計画を変更し、水中での使用は取りやめることにする。一方、本研究は健常者を対象としていたが、水中で脊髄損傷者が他動的ステッピングを行う時の筋電図を記録する実験系を組むことができたので、この実験を追加して実施する。
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