研究課題/領域番号 |
23300199
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青山 朋樹 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90378886)
|
研究分担者 |
高桑 徹也 京都大学, 医学研究科, 教授 (40244933)
黒木 裕士 京都大学, 医学研究科, 教授 (20170110)
三浦 美樹子 島根大学, 医学部, 助教 (40447925)
|
キーワード | 軟骨幹細胞 / マルチモダル / リハビリテーション / PGE2 |
研究概要 |
当該研究は軟骨幹細胞の存在の証明、細胞を取り巻く環境構造、軟骨幹細胞に与えるリハビリテーションの影響を、解剖学、病理学、分子生物学、薬理学、再生医学、リハビリテーション医学の多方面からアプローチしている。これまでは関節軟骨の研究は別々に実施していたため、研究開発のストラトジーが作りにくく、散逸していたものを、軟骨幹細胞というキーワードで集学的に実施しているのが当該研究の特徴である。 これらの検証のため、(1)構造(解剖学、病理学アプローチ)、(2)シグナル(分子生物学、薬理学、再生医学アプローチ)、(3)理学療法刺激による再生促進効果(リハビリテーション医学アプローチ)をそれぞれのユニットに分けて実施している。当該年度に実施した内容をそれぞれのパートに分けて記載する。 (1)構造:関節軟骨最表層の構造を電子顕微鏡にて観察している。この結果からこれまでは注目されてこなかった最表層の三次元構造、構成成分が明らかになった(藤岡;第25回日本軟骨代謝学会発表)。現在この構造と細胞の間の構造学的連続性を検証している。 (2)シグナル:関節軟骨最表層の細胞がPGE2受容体のうちのEP2受容体を発現していることを明らかにし、EP2受容体を介したシグナルが細胞増殖を促進、基質破壊を抑制している事を明らかにした(Mitsui H ; Arthritis Res Ther 2012にて発表)。 (3)理学療法刺激による再生促進効果:今年度は主に物理療法による効果検証を実施した。この結果から超音波刺激によって関節軟骨の基質破壊が抑制されることが明らかになった(伊藤;第25回日本軟骨代謝学会発表)。 今年度の検討から当初想定されていた軟骨幹細胞の働きとして同化作用の促進だけでなく、異化作用の抑制の可能性も示唆される結果を得たことから来年度もこの視点から研究を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始半年後に研究分担者の石橋が退職のため、解剖学的アプローチの遅延が危惧された。しかし高桑の病理学的アプローチと三浦の解剖学的アプローチを統合しすることで不足分を補う事が可能になり、当初予定していた計画をほぼ達成できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後のアプローチとして、カテゴリーを(1)構造、(2)シグナル、(3)理学療法刺激による再生促進効果に再構築することで石橋の離脱の穴埋めをすると共に、より目的を確実にできた。(2)のシグナルに関しては薬理学的な検証はほぼ完了したため、今後は(3)の理学療法学的アプローチに合流し、理学療法におけるシグナル経路について推進していく予定である。
|