研究課題/領域番号 |
23300200
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市橋 則明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50203104)
|
研究分担者 |
建内 宏重 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60432316)
池添 冬芽 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10263146)
|
キーワード | 変形性関節症 / 動作解析 / 歩行 |
研究概要 |
本研究の目的は、1.変形性関節症患者の歩容に影響を与える因子を明らかにすること、2.変形性関節症患者の歩行分析の結果からタイプ別に分類すること、3.どのようなトレーニングがどのような障害を持つ変形性関節症患者に効果的かを明らかにすることである。 本年度は、変形性関節症患者の歩容に影響を与える因子に関して検討し、以下の結果を得た。 1)人工股関節全置換術(THA)術後患者54名を対象として、歩行時の最大股関節伸展角度に関連する要因を分析した。重回帰分析の結果、股伸展可動域(ROM)と股外転筋力が、歩行時股伸展角度と関連する要因として抽出された。本研究の結果より、THA術後患者の歩行時股伸展制限に対する理学療法においては、股伸展ROMと外転筋力の改善が重要であることが示唆された。 2)THA術後患者24名を対象として、歩行時股関節パワーに関連する要因を分析した。その結果、股関節パワーに対して、股・膝ROMと筋力はいずれも有意な関連を認めず、歩行時の股関節角度の増大と動的股関節スティフネスの減少が股関節パワーの増加と関連した。THA術後の歩行時股関節パワー増加に対しては、ROMや筋力よりも動作時パターンの改善が関連することが示唆された。 3)変形性膝関節症患者19名を対象として、歩行時膝内反モーメントとその他の歩行変数との関連性を分析した。その結果、膝内反モーメントに対して膝内反角度が関連した。しかし、重症度別での分析では、軽症群においては膝内反角度が膝内反モーメントと関連したが、重症群では床反力が膝内反モーメントと関連した。この結果から、膝内反モーメントに影響する要因は疾患の重症度により異なる可能性があり、治療介入においても重症度に応じて介入内容を変化させる必要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、変形性関節症患者の歩容に影響を与える因子を明らかにすることを目的に研究を行い、THA患者の歩行時の股関節伸展角度に影響する因子と股関節パワーに関連する因子を明確にできた。さらに変形性膝関節症患者の歩行時の内反モーメントに影響する因子も明確にでき、おおむね予定通り順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、1.変形性関節症患者の歩容に影響を与える因子を明らかにすること、2.変形性関節症患者の歩行分析の結果からタイプ別に分類すること、3.どのようなトレーニングがどのような障害を持つ変形性関節症患者に効果的かを明らかにすることである。 目的の1は、今年度達成できたので、目的の2、3を達成するために今後研究を推進していく。まずは、クラスター分析を用い、変形性関節症患者を歩行タイプ別に分類することを目指す。さらに変形性関節症患者にトレーニングを行い、どのようなトレーニングが変形性関節症患者に効果的かを明らかにしていく予定である。
|