最終年度は再髄鞘化の解析システムをさらに改善する為に、BrdUの経口投与実験系、得られた画像の半自動解析を試みた。また、スクリーニングの実験系として作成が容易で実験者によるばらつきのないカプリゾン投与脱髄・再髄鞘化モデルの利用を検討した。これによって候補となる薬剤の再髄鞘化に及ぼす影響を効率よく解析できる実験系が確立した。この系を用いてサイロイドホルモンの脊髄損傷モデルへの投与を開始したが、研究終了段階においては統計的に有意な結果を得ることができなかった。一方、再髄鞘化の起点となるオリゴデンドロサイトの増殖・分化様式に関し、研究分担者の杉森による検討が進められた。その結果、外的環境因子(主に液性因子の存在)によって増殖と分化の様式が変化することが明らかとなり、今後こうした細胞レベルの機能変化を踏まえた介入戦略が重要であることが示唆された。
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