研究課題/領域番号 |
23300205
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
島田 裕之 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援開発研究部, 自立支援システム開発室長 (00370974)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 軽度認知障害 / 認知症 / 活動 / 高齢者 / 介護予防 / スクリーニング / NIRS / 記憶 |
研究概要 |
本研究は、軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者を対象として、近赤外分光法(near infrared spectroscopy: NIRS)を用い、各種活動時の脳活動を調べ、脳活性化に有益な活動内容を集積して、多面的な活動プログラム(Multidimensional Activity Program:MAP)を作成し、介護予防事業で使用できる形にマニュアル化する。その後、MCI高齢者に対するMAPの効果をランダム化比較試験により検証することを目的としている。 今年度は3年計画の2年目に該当し、健忘型MCI高齢者を対象とした介入研究を実施した。健忘型MCI高齢者の特定は、愛知県大府市において5111名の認知機能スクリーニング検査により行った。検査内容は、一般的認知機能、論理的記憶、単語再認、実行機能、視空間認知検査を実施した。MCIの判定は、主観的記憶低下の訴えがあり、測定した認知機能検査が年齢相応より低下しているが、全般的認知機能に明らかな低下は認められず、基本的日常生活動作に支障はない状態とした。この基準からMCI高齢者を抽出した結果、468名(9.2%)の高齢者が健忘型MCIと判定され、そのうち159名の高齢者が介入への参加を同意し、対象者をランダムにMAP群(80名)と対照群(79名)とに割り付けた。約5か月間、週1回、1回につき90分間(20セッション)の介入を実施したところ、出席率は88%だった。介入後の検査を実施できたのは、MAP群71名(90%)、対照群68名(85%)であった。認知機能検査においては、mini-mental state examinationの得点で有意な交互作用が認められた(p<.001)。しかし、論理的記憶、単語再認、実行機能においては有意な交互作用が認められなかった(p>.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの対象者数を確保してランダム化比較試験を開始することができた。現在は、追加の20セッション(約5か月間)の介入を終了し、評価を実施している。3年目の課題である介入の長期効果の分析の準備も整いつつあり、順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
約10か月間のMAPの実施が、健忘型MCI高齢者の認知機能や運動機能に及ぼす効果を検証する。来年度は3年計画の最終年度となり、調査結果をまとめてマニュアルを作成し、研究成果を広く周知していく。また、効果が認められなかった場合には、プログラムの問題点を考察し、修正すべき点を明らかにする。
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