本研究は大脳皮質運動関連領野の損傷による下肢運動麻痺患者に対し,知的エージェントを介在させることで持続的な訓練を動機づける仮想空間移動型BCIリハビリシステムの開発を目的とした.平姓26年度は最終年度であり,本研究でBCIの脳波特徴量として注目した事象関連脱同期/同期(ERD/S)について,その発生機序の解明と閉ループ型BCI訓練システムに関する研究成果を論文としてまとめ発表することに取り組んだ.また,前年度までの研究において,ERD/Sの発現には単なる運動想像ではなく,随意的に運動を生成しようとする運動企図の重要性が示唆されたことから,実験被験者に対し運動想起の際に,運動目的を意識させる実験パラダイムを用いてERD/Sへの影響を調査した.実験の結果,同じ膝関節の伸展運動を想起した場合であっても,「ボールを蹴る」という明確な意図を指示したケースにおいて,より顕著ななERDがCz電極付近で確認された.このことは,運動想起の方法自体がこの脳波特徴量の生成に関わっていることを示唆しており,実運動を伴わない運動想起であっても,運動目的を意識することが再現性高くERDを発現する上で重要であることを意味している.本研究の成果は国際共著論文2報,国際会議8件として発表されており,現在,H26年度の成果を投稿準備中である.
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