研究課題/領域番号 |
23300220
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研究機関 | 環太平洋大学 |
研究代表者 |
朝岡 正雄 環太平洋大学, 体育学部, 教授 (90070606)
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研究分担者 |
金谷 麻理子 筑波大学, 体育系, 准教授 (00284927)
佐野 淳 筑波大学, 体育系, 教授 (50178802)
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
卞 圭悟(大山圭悟) 筑波大学, 体育系, 講師 (80312833)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | できる / 創発能力 / 促発能力 / 動感 / 運動感覚図式 / 運動共感能力 / 動感素材 / 形成位相 |
研究概要 |
平成24年度は、平成23年度から引き続いて運動指導に関する研究の現状をまとめ、同時に体操競技、水泳競技、陸上競技の各運動種目における指導者の能力についてさまざまな観点から検討するとともに、おもに基礎技術に着目して、学習者が「できる」ようになるということについて検討した。これに関連して、朝岡は、現象学の立場から運動観察力の構造を検討して運動学習におけるデジタル教材の問題性について考察し、さらに運動学習現場と密接な関係をもつコーチング学(体育方法学)について、体育・スポーツ学におけるその役割と課題を検討した。金谷は、体操競技における基礎技術のひとつである「ロンダート」について、女子選手を対象として、基礎形態から応用形態へと発展させる際の指導上の問題点について検討した。佐野は、運動の習得過程における「できなくなる」、「分からなくなる」、「怖くなる」などの症状の発生について、動感発生と言語表現という観点から、体操競技の指導事例を通して検討した.高木は、水泳競技の基礎技術である「けのび」の動作習得について、準備局面の姿勢変化に着目して、従来の腰ヘルパーやビート板を用いた指導法と自律的に姿勢を変換する能力を高める新しい指導法を比較して、この2つの指導法をその際の到達距離・バイオメカニクス的指標の変化と運動者の内省の変化という観点から多角的に評価する可能性について検討した。卞(大山)は陸上競技における投擲種目(円盤投・砲丸投)を取り上げて、身体的特性に応じた効果的な投げ方およびその指導法について、投法の特徴に基づいて検討した。また、これらの研究から、運動学習現場において学習者の主観情報に着目して技術を習得させようとする場合には、いずれの種目においても、指導者にはみずからの運動経験に基づいて学習者の運動に共感する能力が求められるということが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した研究課題の目的をおおむね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、最終年度として、これまで明らかにしてきた、国内・外の体育・スポーツにおける運動学習の指導に関する現状と各運動種目における学習者の主観情報に着目した指導事例の報告に基づいて、学習者自身の「できる」ようになる力を引き出す指導法について、現状と問題点についてまとめる。さらに、一般的に指導者に必要な能力と考えられている「場を動かす」、いわゆるマネジメント能力ではなく、本来の意味で運動(動きかた)を教えるために必要とされる能力の養成に役立つ、指導者養成プログラムの基礎的枠組を提示する。 また、今後、本研究の結果を具体的なプログラムへと発展させていくために、これまでの研究で明らかになった結果について国内・外の研究者・指導者と情報交換およびディスカッションを行い、新たな知見を収集していく。
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