競技選手が多い体育大学では、スポーツ傷害の発生頻度が高く、傷害予防や受傷後のリハビリなどのニーズが高い一方、トレーナー志望の学生も数多く、競技選手のコンディショニングを担う実地経験を積みたいというニーズがある。そこで本研究では、両者のニーズを合わせて、学生主体のスポーツ医科学サポートシステムを構築し、体育大学における独自のトレーナー教育システムを確立することを目的とした。 学生によるスポーツ医科学サポートシステムは、主に傷害予防とリコンディショニングを中心に進めた内容として、新入生のメディカルチェック(予防)、各運動クラブ活動時の傷害管理(救急処置)、傷害後の競技復帰支援活動(リハビリ)、学生選手対象各種講習会(教育)、体力トレーニング指導(強化)などを専門教員の指導の下、学生トレーナーを中心に積極的に導入し有効活用した。 特に新入生に対するメディカルチェックの評価項目について、その評価・フィードバックシステムを構築する必要性から過去25年間の測定結果を集計して評価基準の基礎資料を作成した。また、学内スポーツ医科学サポート活動を経験した卒業生を対象に、学生時代のスポーツ医科学サポート活動の経験が、卒業後の社会活動にどのように役立てられているかをアンケート調査した。学生時代におけるスポーツ医科学サポート活動の経験は、スポーツトレーナーとしての専門的知識の習得はもちろんのこと、社会から求められる人材育成にもつながるものと思われた。
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