研究概要 |
【平成23年度の取り組みとそのおもな成果】 本研究は,幼少年期の子どもを対象に発達段階に応じたライフスタイル改善教育及び体力向上プログラムを提供し,保護者からの評価も含めてその有効性を検証するとともに,同一集団を数年にわたって追跡し,彼らの健康や体力向上に関与する諸要因を明らかにすることであった.本研究の対象は幼少年期であるが,年齢及び学齢期でみると,3~15歳、幼稚園の年少から中学校3年生までである.これを一括りにして,幼少年期とした. 本年度(平成23年)の具体的な取り組みを列挙すると以下の通りであった. 1)幼児(3~5歳児)への定期的な運動指導とHQCシートの導入による生活改善教育の実践;これは保護者および当該園教諭の協力によって実施された.千葉県内での幼児教育実践発表会(保護者代表)でも高い評価を受けた.詳細なデータの収集と分析は継続中である. 2)小学校の体つくり運動や陸上運動における指導プログラムの開発と実践、評価を行った.特に、小学校では本年度から体つくり運動が全面実施となった.他の領域との関連を踏まえながら1~6年男女児童を対象に,我々が開発したプログラムを体育の授業で展開した.陸上運動では.低学年児童を対象に授業研究とデータ収集を積み重ねてきた.その成果を学会等で発表し,さらに検討を加え論文として公表した(下記参照). 3)中学校は千葉県内2校,東京都1校,山形県1校,青森県2校で以前の研究から継続してデータ収集を行った.本年度を含めこれまでに収集したデータ(横断的,縦断的データを含む)をまとめた.ライフスタイルと体力の関連は明らかとなってきているが,さらにライフルスタイルと学力との関連についても検討を始めている.体力と学力に共通に関与するライフスタイル諸要因の解明がこれからの課題である. 以上は研究全体の一部である.これらの取り組みを通してさらに幼小年期の質の高い健康・体力づくり教育が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,研究対象とになっている当該幼稚園,小中学校の理解と協力が不可欠である.これまでの交流や実践の蓄積からデータ収集をスムーズに行うことができた.さらに,現在まで蓄積してきたデータをまとめることができた.しかし,幼・小,小・中の連携を踏まえた縦断的データの収集と追跡調査等は,不十分なところもあり,研究を進める上での課題である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題をさらに推進するおもな方策として現段階では以下のように計画している. 1)幼児向けのHQCシートによる生活習慣改善と運動指導の継続的実施:昨年度の引き続き、この課題を実施するとともに加齢に伴う変化を追跡する. 2)小学校における体つくり運動の導入と体力向上との関連の検討:協力校では年2回の体力テストが可能となっている.このことを踏まえ,昨年度から実施している体つくり運動プログラム内容をさらに精緻化し,全学年で実施可能な年間計画を立て実践する.児童の体力の変化を下にプログラムの有効性を検討する. 3)小学校高学年および中学生に実施してきたライフスタイル調査(66~85項目)に修正を加える.これまでの研究から社会学的内容を含んだ質問項目の再構成が必要となったためである.
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