研究課題/領域番号 |
23300226
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大友 智 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90243740)
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研究分担者 |
海老 久美子 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60443248)
藤田 聡 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80451863)
山浦 一保 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80405141)
長積 仁 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80274190)
小沢 道紀 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30340491)
宮城 博文 大阪商業大学, 総合経営学部, 講師 (30634521)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 介護予防 / レジスタンス運動 / 食生活教育 / 健康に対する動機づけ / ソーシャル・キャピタル / 産学連携 / ヘルス・ツーリズム / コミュニティ活性化 |
研究概要 |
健康的で、安心・安全なまちづくりや豊かなスポーツライフの実現に向けて、第一に手軽さと効果のトレードオフを解消するコンテンツ開発、第二に住民の行動変容に必要な継続性と自発性を促進する教育プログラム開発、第三に住民の主体的な健康づくりを促進する行政支援と組織的活動の一般化とモデル化による健康づくり支援システムの構築、の3観点からアプローチした。 第一・二の観点に関して、中高齢者の介護予防を目的とした運動介入において、3ヶ月間の地域住民男女16名(64.1±6.9歳、男性5名、女性11名)を対象としてレジスタンストレーニングの指導者養成講座が、参加者の体力及び意識に及ぼす影響を検討した。 その結果、第一の観点では、12週間の運動実践と講義を通じて機能的体力が有意に改善した。また、栄養教育プログラム開発に向け,前年度調査結果より作成した栄養介入プログラムについて対象者に介入研究を実施した。その結果からプログラムの効果の検証を行い、学会にて発表した。 第二の観点では、健康バンドの効果や技術の獲得、さらには、その普及に対する関心は、全般的に講座の受講回数を重ねる毎に高まる傾向にあった。その一方で、「指導者」や「健康バンドの普及」というミッションを自らが遂行するということに対して、確信を抱くことに躊躇または謙遜している様子がうかがえた。そのことから、獲得した知識やスキルをどのように活かすかというフォローアップを、プログラムに組み込むことの必要性が示唆された。 第三の観点に関して、人口減少と高齢化の著しい地域において、どのように地域コミュニティを活性化していこうとしているのか、について知見を得た。現状は、地域内におけるネットワークとビジョンを持ったリーダーによって、コミュニティが変容しつつあった。これらの事例の検討から、担い手を生み出していく一つの方法について一定明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、研究目的を達成するために設定した3課題、すなわち、第一に、健康づくりにおける手軽さと効果のトレードオフを解消するコンテンツの開発、第二に、住民の行動変容に必要な継続性と自発性を促進する教育プログラム開発、及び、第三に、住民の主体的な健康づくりを促進する行政支援と組織的活動の一般化とモデル化による健康づくり支援システムの構築、を設定した。 第一の課題である健康づくりにおける手軽さと効果のトレードオフを解消するコンテンツの開発、及び、第二の課題である住民の行動変容に必要な継続性と自発性を促進する教育プログラム開発に関して、8週間にわたって介入研究を行った。その研究結果は、学会発表や論文発表として発表し、研究正課が現れている。また、第三の課題である住民の主体的な健康づくりを促進する行政支援と組織的活動の一般化とモデル化による健康づくり支援システムの構築に関して、特色のある地域に関する情報が集積されてきており、一定の研究成果を発表した。また、第三の課題に関連して、NPO法人立命フィットネス研究会を立ち上げた。この研究会での活動を通して、地域に密着した研究を進めることの可能性が拓かれた。 以上から、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
第一の観点に関して、今後は、高齢者を対象とした運動指導者養成講座が参加者の身体能力や身体組成を改善するかどうかをより詳細に調査し、さらにその後の指導者としての指導期間前後での体力および身体組成の推移を評価することが求められる。また、今年度栄養教育プログラムの内容がどの程度対象者のニーズに合っているのかについての調査を実施し,その結果から作成した栄養教育プログラムの見直しを行なう。 第二の観点に関して、プログラムの対象者が高齢者ということもあり、特定のメンバーが強いリーダーシップを発揮するというスタイルよりも、複数のメンバーが「みんなで一緒に」という実感が得られるようなリーダーシップ共有やフローティング・リーダーシップが発揮できるようなファシリテートがプログラムに求められる。そのためにも高齢者のコミュニティ内における人間関係やネットワーキングなどとも関連づけて、分析する必要がある。 第三の観点に関して、地域コミュニティの核となる人物の複数に話を聞く定性調査を行ってきたが、一般化するためにはまだ事例が不足している。そのため、継続して定性調査を行っていく事とする。加えて、地方自治体やNPO法人などで行われている観光に関連した健康プログラムが観光客の満足度にどのように反映されているのか、そして同時に、地域住民にどのように影響しているのかを明らかにすることが必要である。
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