これまで発育発達に伴う疾走能力の変化を検討した縦断的研究は少なく、さらに小学校6年間、中学校3年間、高校3年間の各学校種別ごとには縦断的研究報告はあったが、小学1年生から高校3年生まで、同一の対象者を追跡した疾走能力の研究は皆無であった。 そこで、以前行ってきた小学生から中学生までの発育発達に伴う疾走能力の縦断的検討を、対象者数が年々減少したが、今年度、高校3年生として、身長や体重の測定、50m走を行ってもらい、その疾走をビデオ撮影し、ビデオ映像を分析することによって、疾走能力の計測・分析を行った。疾走能力については、単純にスタートからゴールまで要したタイムだけでなく、脚の回転の速さであるピッチ(step frequency)や片足の接地から逆足の接地までの歩幅で表わされるストライド(step length)を分析した。また、10m区間ごとに、疾走速度、ピッチやストライドを分析・算出し、今年度のデータとして、蓄積した。 さらに、今年度は、小学1年生から高校3年生までの12年間にわたる縦断的分析の最終学年であるため、年間の身長(体重)増加量、つまり身長(体重)発育速度の分析をもとに、発育発達の個人差を考慮して、疾走能力を分析した。 今年度中に、論文の投稿には至らなかったが、発育発達による疾走能力の変化について、個人の疾走能力発達、早熟あるいは晩熟による疾走能力の違いなど、いろいろな角度から論文としてまとめ、投稿準備を進めた。
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