研究課題/領域番号 |
23300228
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深代 千之 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50181235)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スポーツ動作 / 3次元解析 / 体幹 / 回転軸 / 捻転トルク |
研究概要 |
四半世紀前に代表者が国際学会ISBで指摘した「スポーツ動作における体幹の重要性(Fukashiro,1988)」は、現在、ダイナミックな運動のパフォーマンスを高める核として一般に認知されるに至った。これによって例えば、北京オリンピック陸上男子400mリレーの銅メダル獲得のように、日本選手が世界で戦える土台を作った。しかしながら、指導現場における体幹の利用や捻転軸の定義は未だ感覚に基づくものであり、自然科学的に明らかになっているわけではない。そこで、本研究では、走・跳・投・打・蹴などのダイナミックな体幹の動きを、次の2点から客観的に究明することを目的とする。1:各動作の肩と骨盤それぞれから回転軸を明らかにする、2:逆ダイナミクスを用いて、体幹の捻転トルクを解析する。 平成25年度は、体幹を胸郭部・腹部・骨盤部の3セグメントモデル(体幹内の結合部は2点)を用いて歩行における体幹の動き、特にセグメントの長軸周りの回旋について検討した。その結果、上部と下部体幹結合部とは、それぞれ下方のセグメントが上方のセグメントに対して左脚接地期には左回旋、右脚接地期には右回旋していた。つまり、体幹が下肢の動きに連動して下から順に段階的な回旋を行っていた。また、セグメントそれぞれの回旋角度変化を相互相関分析した結果、下部体幹が下肢に連動して動いているのに対して上部体幹は上肢と連動して動いていた。 逆動力学解析の結果、歩行中の体幹は上部・下部体幹結合部の両方で、より上方のセグメントに対して負の仕事を行い、両脚接地期に肩関節および股関節がそれぞれ上部体幹、下部体幹に対して正の仕事を行っていた。これらの結果から、歩行中は上肢と下肢の能動的な動きによって体幹が捻られ、体幹は上肢と下肢の動きに連動する下部体幹セグメントと上部体幹セグメントを伸張性に収縮させながら体幹全体の動きを制動していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的としている、体幹のバイオメカ二クスにおいて、「軸」、「2セグメントモデルによる捻転」、「3セグメントモデルによる歩行解析」が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、体幹のバイオメカ二クスの中の「3セグメントモデルによる走行解析」を進める予定である。
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