研究概要 |
本研究は、地域密着型プロスポーツのトポフィリア(場所愛)を実証的に検証するために、平成23年度から新たに男子プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)に参入する「岩手」「長野」の2チームの観戦者と地域住民を対象として、地域密着型プロチームの出現が、「チームアイデンティフィケーション」(以下TIとする)と「地域愛着」(place attachment)にどのような影響を与えたかを、縦断的研究によって明らかにすることを目的としている。なお本研究のタイトルで用いた「トポフィリア」とは、「人と場所(トポス)や環境との情緒的な結びつき」、あるいは「人々が持つ地域に対する愛着」を意味し(Tuan,1974)、地域密着型を経営の基本に置くプロスポーツチームが醸成する、ファンの地域に対する愛着を検証するためのシンボリックは概念である。昨年度は、実験群とし両チームの開幕戦と2月後半の試合での調査を実施した。それと並行して、同じ時期に、統制群としての地域住民に対して、地域愛着のインターネット調査を用いた。調査では、インターネット調査会社に依頼して400程度の回答を得た。調査項目には、表3に示した、人口統計的変数、観戦行動、地域愛着項目、ブランドイメージを含んでいる。データは観戦者に対する2回の調査と、地域住民に対する2階のインターネット調査の結果を現在分析中であるが、観戦者の地域愛着度は、その他の地域住民に比べて、有意に高いことが判明した。
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