本年度の研究成果に関する具体的内容、意義、重要性等は、以下の3点にまとめられる:①地域愛着の経年比較:地域密着型プロチームの出現が、地域愛着に与える影響について、2チームを対象に調査を行った結果、2チームとも地域愛着が経年的に向上するという結果を得ることができなかった。このことより、地域密着型を謳うプロスポーツチームの誕生を介して、地域への愛着は向上しないことが示唆される。しかし、そもそも観戦者の方がホームタウンに愛着が高いことが示されたため、プロスポーツを観戦する観戦者が元来、地域愛着の高い観戦者が多く集まっていたことが最大の理由であると考えられる。 ②チームアイデンティフィケーションの経年比較:一方で、チームアイデンティフィケーションの経年変化の推移を見ると、2チームともに、チームに対する愛着は年々上昇傾向にあることが伺える。このことより、観戦者は観戦行動を経験することで、チームへの愛着が醸成されることが経年変化から明らかとなった。 ③地域愛着とチームアイデンティフィケーションの関係性:最後に、地域愛着とチームアイデンティフィケーションの関係性を明らかにするため、共分散構造分析を行った。しかし、岩手・長野両方において、モデル適合が悪い結果となったが、いずれにおいてもチームアイデンティフィケーションから地域愛着へのパス係数が高いことから、チームアイデンティフィケーションが醸成されることによって、地域愛着が高まるのではないかという可能性を残す結果となった。この分析においては、課題が残るものとなった。
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