研究課題/領域番号 |
23300236
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
矢内 利政 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50387619)
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キーワード | 野球 / 水泳 / 外傷・障害 / 肩 / バイオメカニクス |
研究概要 |
研究初年度である平成23年度には、定期的に年2回、競技動作中に可動する肩甲上腕関節の動作範囲を実測・蓄積することにより、投動作および泳動作のおける肩甲上腕関節の動作の特徴を把握し、個人差や各計測時における肩関節障害の有無による違いを分析すること」を目的とした研究を実施することであった。電磁ゴニオメータシステム(Liberty、 Polhemus社製)を用いて慢性肩関節障害の既往歴のない大学一部リーグに所属する野球部の投手、ならびにプロ野球の投手がブルペンで投球する際のデータを収集する。各投手には最大下の球速で直球を10球投じてもらい、そのうちの4~8球目のデータを記録した。 同様の方法論を用い、大学一部リーグに所属する競泳選手が室内プールで遊泳する際のデータを収集するための方法論を繰り返しテストした。防水加工を施した各センサを作成し、水中運動中の被験者の運動を計測する精度を検証した。良好な結果が得られた。練習用のゴムチューブを用いて泳者に抵抗を加えることにより、一定の位置で泳動作を行なわせるように工夫したが、牽引抵抗により通常の泳動作と異なるストロークが行われていることが確認された。 これら取り組みについての研究成果は、国内外の学会にて発表されたもの、学会誌に発表されたものがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に研究所手が早期退職したこと、および後継助手の確保が困難だったことにより、予定よりもデータ分析や取りまとめが遅れていたが、今年度の新規助手の採用により当初の計画に追いついてきた。特に、野球投手のデータ収集と分析は、順調に進行しているため、計画通りの研究が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
縦断分析のためのデータ収集を継続して実施することに加え、研究期間3年間を通じて蓄積されたデータを用いて縦断的な分析を行うことにより、『腱板圧迫が起こりうる肩甲上腕関節の動作範囲が頻繁に用いられる動作局面を縦断的に分析することにより、腱板損傷を発症しやすいフォームの特徴を探り出すこと』という本研究課題に最終目的を達成する。この縦断分析により、「肩峰下インピンジメント」と「インターナル・インピンジメント」という二つの主な腱板損傷の発症要因となる動作局面を、各被験者を追跡して計測した肩甲上腕関節運動の中から見つけ出し、発症要因と障害との間の因果関係について深く分析する。
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