研究課題/領域番号 |
23300237
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
増田 和実 金沢大学, 人間科学系, 教授 (50323283)
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キーワード | 筋細胞 / 代謝 / ミトコンドリア / ミオグロビン / 運動 |
研究概要 |
骨格筋の酸素供給機構とその規定因子については不明な点が多い。我々は、骨格筋内の酸素貯蔵体として知られているミオグロビン(Mb)に注目して、筋収縮時の細胞内貯蔵酸素(Mbに結合した酸素)の動態を検出した。実験の結果、Mbに結合した酸素は筋収縮開始とともに解離し、それに付随して細胞内酸素分圧が急進的に低下することが明らかとなった。こうしたMbの振る舞いは、Mbが単なる酸素貯蔵体としてではなく、骨格筋組織の酸素供給機構の一部として機能していることを示唆する。そこで本研究では、酸素代謝機能の背景にはMbとミトコンドリアとの密接な相互作用が起因すると予想した。そのことを検証するために、ラット摘出骨格筋の各画分におけるタンパク質解析を行った。その結果、Mbが細胞質画分だけではなくミトコンドリア画分にも検出された。さらに、ミトコンドリア画分に検出されたMb量は、ミトコンドリアの多い骨格筋に多く検出される傾向にあった。そのことは組織学的画像解析によっても確認された。加えて、Mbの酸素化状態(脱酸素化状態)によってMbとミトコンドリアの相互作用が影響を受けなかったことをMbの一酸化炭素暴露実験によっても検証した。さらに、運動トレーニングを課した骨格筋やCast材で固定した骨格筋では、ミトコンドリア画分に存在するMb量が増減する傾向にあり、こうした骨格筋ではMbから供給される酸素流量も増減する傾向にあった。上記の実験に加えて、Mbとミトコンドリアの相互作用を詳細に検証するために、タグ付きMbの安定過剰発現細胞を構築すべくMb発現ベクターを作成し、骨格筋培養細胞(L6)へ導入し、myc-Mbの発現状態を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体試料(ラット骨格筋)を用いた相互作用状態(共局在性、共免疫沈降)の検証を概ね進行させることができた。また、Mbとミトコンドリアの共局在の有無を検討するにあたり、MbのcDNA全長を含むベクターを骨格筋培養細胞(L6細胞)に導入し、myc-タグで標識したMbタンパク質を安定発現するL6細胞の樹立を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
myc Mbを安定発現するL6筋細胞株を用いて、Mbに相互作用するタンパク質の検討を行う。Myc-抗体で免疫沈降し、銀染色によってタンパク質の存在の可能性を確認する。また、プロテオーム解析(MassSpec,ショットガン解析)によって、相互作用するタンパク質のカタログ作成を試みる。さらに、L6培養筋芽細胞あるいは、筋組織を用いて電子顕微鏡による組織観察を行い、細胞のオルガネラ(特にミトコンドリア周辺)に散在するMbタンパク質の局在性を観察する。
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