研究課題/領域番号 |
23300238
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤原 勝夫 金沢大学, 医学系, 教授 (60190089)
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研究分担者 |
淺井 仁 金沢大学, 保健学系, 教授 (50167871)
外山 寛 金沢大学, 医学系, 准教授 (10172206)
国田 賢治 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (20316003)
前田 薫 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (00454687)
清田 岳臣 札幌国際大学, 人文学部, 講師 (40434956)
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キーワード | 姿勢制御 / 高齢者 / 下腿筋力 / トレーニング / 足関節固定 |
研究概要 |
動的姿勢制御は、上肢などの随意動作に付随する姿勢制御、一過性の外乱に対する姿勢制御、および周期的な外乱に対する連続的姿勢制御に分類できる。これらの姿勢制御はいずれも予測的になされるがゆえに、外乱に対する準備脳活動と姿勢筋の活動様式との関係が、重要な研究課題となろう。しかし、動的姿勢制御における準備脳活動については十分な検討がなされていない。加えて、いずれの姿勢筋の活動様式にも顕著な個体差が存在している。それゆえ、両者の関係を明確にとらえることができなかった。そこで、本研究では、股関節と膝関節を固定することで、制御対象を足関節に限定することによって、動的姿勢制御の姿勢運動様式を単純化した。前頭葉を中心とした準備脳活動は、事象関連脳電位(随伴陰性変動:CNV)を用いて測定した。本年度は、若年成人を対象に、上肢屈曲運動、一過性床移動、および床振動時の姿勢制御における準備脳活動と姿勢筋活動様式との関係について検討した。上肢屈曲運動においては、固定により、三角筋に対する腓腹筋の先行活動が明確になった。CNVは、固定により、振幅が有意に増加し、そのピーク潜時は減少傾向を示した。 一過性床移動においては、固定により、CNVのピーク振幅が有意に増大した。その潜時には固定の影響が認められなかった。腓腹筋の活動開始は、CNVピークに対して固定前が132ms、固定中が158ms、それぞれ先行した。CNVと腓腹筋の潜時の相関は、固定中に特に高かった(r=0.94)。 床振動においては、適応後における事象関連脳電位(ERP)の陰性ピークは、床の前方変曲点に対して、固定前では59ms、固定中では69msの遅れを示した。ERP陰性ピークは、腓腹筋の活動ピークに対して、固定前では29ms、固定中には62ms遅れて生じた。ERP陰性ピーク時点は、腓腹筋の活動ピーク時点と、特に固定中に高い相関(r=0.77)を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
股関節と膝関節を固定するためのギブスを用いるこどで、動的姿勢制御の姿勢運動様式を単純化し、制御対象となる筋を下腿筋に限定した。前頭葉を中心とした準備脳活動は、事象関連脳電位(随伴陰性変動:CNV)を用いて測定した。本年度は、若年成人を対象に、上肢屈曲運動、一過性床移動、および床振動時の姿勢制御における準備脳活動と姿勢筋活動様式との関係を明らかにした。全て実験は終了し、分析も終了しつつある。一過性床移動に関しては、論文作成にとりかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は、高齢者を対象に、股関節と膝関節を固定することで、動的姿勢制御の姿勢運動様式を単純化し、制御対象となる筋を下腿筋に限定し、姿勢制御における準備脳活動と姿勢筋活動様式との関係について検討する。この過程で、若年成人との違いを検討する。採用する姿勢制御課題は、上肢屈曲運動、一過性床移動、床振動における立位姿勢の保持とする。上肢屈曲運動と一過性床移動の動的姿勢制御は、予告信号(S1)一運動開始信号ないし床移動外乱(S2)パラダイムで実行し、S1からS2にかけての準備脳活動を分析する。床振動での動的姿勢制御では、床の前方変曲点を基準とする床振動の1周期における準備脳活動を分析する。準備脳活動は、CNV様脳電位の記録によって明らかにする。
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