研究課題/領域番号 |
23300238
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤原 勝夫 金沢大学, 医学系, 教授 (60190089)
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研究分担者 |
前田 薫 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00454687)
外山 寛 金沢大学, 医学系, 准教授 (10172206)
国田 賢治 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (20316003)
清田 岳臣 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (40434956)
淺井 仁 金沢大学, 保健学系, 教授 (50167871)
清田 直恵 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90559189)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 予測的姿勢制御 / 下肢筋力 / バランストレーニング / 随伴性陰性脳電位 / 上肢運動 |
研究概要 |
高齢者を対象に、立位位置を規定できるバランスボードを用いて、前・後傾姿勢を保持するトレーニングを行い、上肢屈曲運動における足関節戦略を用いた動的姿勢制御能の改善について検討した。 被験者は、健康な高齢者25名とした。その中の13名は踵挙上トレーニング群とし、12名はトレーニングを実施しないコントロール群とした。 トレーニング群には、所定の位置での前・後傾姿勢保持のトレーニングを1カ月間課す。トレーニング内容は、先行研究(Fujiwara et al., 2010)に基づき、バランスボードを用いて、所定の前後足圧中心位置での前傾姿勢(母指球位置)と後傾姿勢(内果位置)を1秒間保持することを100回反復するものとした。そのトレーニング強度は、踵と前足部の拳上距離によって調整した。トレーニングを開始する前に、ヒラメ筋と前脛骨筋の表面筋電図の振幅が、最大底・背屈力発揮時の約30%となるように、踵と前足部の拳上距離を設定する。トレーニングは、転倒防止を考慮して周囲の壁や安定した家具などにつかまりながら行うように指示した。トレーニングの実施状況は、踵挙上の回数、実施時間、実施場所等を記録させて把握する。コントロール群には、1カ月間、日常生活行動に変化が生じないように指示した。 トレーニング群に特異的に、次の項目で有意な効果が認められた。安静立位位置の前方移動、最前傾位置および最後傾位置の前・後方への拡大、底・背屈力の増加、CNVが後半でピーク振幅を示し、およびGcMの開始タイミングの早期化である。これらの結果は、高齢者においても、バランスボードトレーニングによって、足関節周りの筋が、姿勢制御に参加するようになったことを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者を対象に、バランスボードを用いて、前傾・後傾の姿勢維持トレーニングを課した。膝関節以上の下肢と体幹を固定しての上肢屈曲運動において、足関節周りの筋が、比較的早期に活動を開始し、顕著な後期CNVが認められるようになることを証明できた。高齢者における下肢筋の衰えによる姿勢制御能の低下を予防できる見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、高齢者を対象に、膝関節以上の下肢と体幹を固定しての一過性の床移動外乱時の姿勢制御に対する下肢筋のトレーニング効果について検討する。この外乱では、関節固定によって足関節に限定したし姿勢制御を最も導きやすい。また、下肢筋力トレーニングだけでなく、同じ外乱条件での姿勢制御のトレーニングが有効となると考えられる。トレーニング群を次の3群に分ける。(1)座位での底屈力トレーニング、(2)バランスボードでの前傾トレーニング、(3)一過性床移動外乱での動的姿勢制御トレーニング。CNV、筋活動、および足圧中心の前後移動について、これまでと同様に測定し、有効な姿勢制御のトレーニング法について検討する。
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