研究課題
今年度は筋疲労時の大腿四頭筋の神経筋活動と酸素化動態との関係(実験1),異なる関節角度における神経刺激による中間広筋と外側広筋の筋疲労(実験2),女性における中間広筋の表面筋電図法の妥当性(実験3)についての実験を行った.実験1においては,中間広筋の組織酸素飽和度 (StO2)は,他の大腿四頭筋と比べて低下が少ない傾向が見られ,内側広筋との間にほぼ全ての運動時間において統計的な有意差が認められた.この中間広筋のStO2の低下が少ない原因としては,他の大腿四頭筋と異なり血液量が運動中に維持されていたことに起因していた.表面筋電図から求めた中央周波数は他の筋と同様な低下パターンが認められた.中間広筋のみにおいて,安静からのStO2の変化(ΔStO2)と中央周波数の変化(Δ中央周波数)との間に有意な相関関係(r = 0.838, P < 0.01)が疲労困憊時に認められた.実験2においては大腿神経からの電気刺激により筋疲労を誘発した結果,膝関節角度に関係なく中間広筋と外側広筋の誘発筋力の低下に有意な差は認められなかったが,M波においては伸展位において中間広筋は外側広筋と比較して有意に高値を示していた.実験3では,異なる電極間距離(10mmと20mm)で女性10名,男性10名の中間広筋から表面筋電図を記録した.女性は男性と比較して,皮下脂肪厚が有意に高値を示した.被検者は膝伸展による最大努力および最大下(最大での25%,50%,75%)での等尺性筋力発揮を行った.女性と男性ともに異なる電極間距離での力-筋電図関係に有意差は認められなかった.このことから女性においても,これまで我々が男性において示してきたのと同様に中間広筋から表面筋電図が記録できることが示唆された.以上の結果はこれまで解明されていない大腿四頭筋における中間広筋の機能解明に役立ち,運動生理学やバイオメカニクスだけでなくその近接領域において有用な知見となるものと思われる.
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定していた研究課題は本年度においてほぼ全て完了している.次年度は最終年度であるが,さらに研究を進めたいと考えている.
実験の遂行上で大きな問題点は現時点でない.したがって,良質な被検者を募って予定している実験を進めるだけである.
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http://www.htc.nagoya-u.ac.jp/~akima/