研究課題/領域番号 |
23300244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
植竹 照雄 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10168619)
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研究分担者 |
田中 幸夫 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60179794)
田中 秀幸 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70231412)
下田 政博 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80302909)
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キーワード | 高齢者 / 自転車 / アイカメラ / 事故削減 |
研究概要 |
高齢者の自転車利用中の重大事故削減を目指し、体力や判断能力の加齢変化に着目し、自転車を日常的に利用する高齢者の行動特性や特徴を把握することを目的として、初年度は主にアンケート調査およびアイカメラによる注視点解析を実施した。最初にアンケート調査結果、次いでアイカメラによる注視点解析結果について表す。 アンケート結果のうち、自転車事故に関する項目に絞ると、(1)直近の1年間に、自転車乗車中に事故に遭遇した高齢者は(被害者および加害者)10パーセント強存在する。(2)被害事故経験者は荷物を「前のかごに入れる」者が多く、自損事故経験者は「前のかごに入れる」、「ハンドルに下げる」者が多かった。(3)事故経験者は、雨天時の利用率が高かった。雨天時の走行環境(路面・視界)の悪化に関係すると考えられる。(4)走行中に意識するものとして、事故経験者全体としては「犬・猫」を、被害事故経験者は「走行場所」を、自損事故経験者は「走行側」をあげる者が多かった。事故経験に基づき、走行環境への意識が高まっていると考えられる。(5)加害事故経験者は、狭いところで追い越すとき「声掛け」が少なく、「合図なし」が多かった。積極的な危険回避行動をとっていないと考えられる。 アイカメラによる注視点解析結果のうち特徴的な項目を列挙すると、(1)進行方向の視野画像に現れる注視点の移動範囲の特徴はいくつかのパターンに類型化でき、左右に広がりを有する者、中心部に集中する者、など個人差が大きかった。(2)注視点が交通標識や道路標識に停留する時間は短かった。コースに慣れていて確認する必要がないのか、確認する習慣がないのかは不明である。(3)注視点の累積停留時間が長かった場所は進行コース決定に重要な役割を担っていると考えられる。また、それらには顕著な個人差がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を推進する中で最もハードルが高いと考えていた、高齢者被験者の確保ができた。このことで当初の計画が滞りなく実施できるばかりでなく、今年度の結果を基に今後の研究に関する新しい展開が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究において、自転車乗車上中の高齢者自身の周囲の認知やそれに基づく適切な反応に関する研究を柱として推進する予定である。現在のところ初年度に購入予定していたアイカメラを予定どおり設置することができたので、そのアイカメラを用いた実験を継続するとともに自転車乗車中におけるさまざまな周辺環境の変化を任意に発現したときの生体反応を測定する予定である。 初年度の研究結果および今後に得られる研究結果をもとに、学会発表をはじめとし社会に広く公表する予定である。
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