研究課題/領域番号 |
23300246
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 教授 (70163186)
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研究分担者 |
上地 勝 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20312853)
栗原 淳 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (40215067)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学校保健 / 社会疫学 / ソーシャル・キャピタル |
研究概要 |
本研究の目的は,青少年における健康の社会的決定要因として,ソーシャル・キャピタルが有用なのかというリサーチクエスチョンに応えることである。 平成25年度は,これまでに沖縄と本土(九州および関東地域)の高校生を対象に学級における無記名自記式質問紙法によるサンプリング調査を実施して得たデータセットをもとに,青少年のソーシャル・キャピタルと健康指標との関連性について,個人レベルと集団レベルの両方を考慮した分析モデルを用いてデータ解析を実施した。 沖縄県の高校生を対象として生徒個人をレベル1,学校をレベル2としたマルチレベル分析を行った結果,個人レベルおよび学校レベル要因を同時に投入した後も,学校レベルの認知的ソーシャル・キャピタルは主観的健康や健康関連行動などの多くの健康指標と関連していた。一方,学校レベルの構造的ソーシャル・キャピタルは喫煙とのみ関連していた。以上のように,学校におけるソーシャル・キャピタルは青少年の健康指標に対して部分的に文脈効果を持つことを示唆する知見を得た。 研究業績として,昨年度までに収集したデータを分析して,青少年の学校や近隣におけるソーシャル・キャピタル尺度を新規に作成した研究論文が学会誌"School Health"に受理された。また,学術書「ソーシャル・キャピタルと地域の力」(イチロー・カワチ,等々力英美編.日本評論社)に,これまで得た知見をもとに,「沖縄における青少年の危険行動とソーシャル・キャピタル」の章を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り,サンプリング調査を実施して得たデータセットから,個人レベルと集団レベルの両方を考慮した分析モデルを用いてデータ解析を実施するという今年度の目的を達成していることや,いくつかの研究業績を公表できたことから,おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,これまでに得たデータをもとに,青少年のソーシャル・キャピタルレベル,およびソーシャル・キャピタルと健康結果指標との関連性について,個人レベルと集団レベルの観点から,地域比較を目論んだ分析を実施する。また,最終年度であることから,これまでに実施してきた青少年のソーシャル・キャピタルと健康に関する分析結果をまとめて学会発表および論文発表により公表・報告する予定である。
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