研究分担者 |
石井 哲郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20111370)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
後藤 直宏 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (60323854)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 中央機器施設, 准教授 (60264876)
|
研究概要 |
本邦で増加の一途にある肥満に関連した非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防と治療には食事・運動療法以外にコンセンサスが得られた方法はない.骨格筋の総重量は肝重量の約20倍もあり肝臓同様に代謝の重要な臓器である.一方,転写因子のNF-E2 related factor2(Nrf2)は,抗酸化ストレス防御機構の発動や自然免疫系の活性化を制御する因子であることに加えて.脂肪蓄積を抑制する新しい機能を有することが判明している.本年度は,野生とNrf2欠失マウスを用いて,骨格筋のNrf2賦活化が運動機能を改善させることが可能であるかどうかを検討した.マウスに対してトレッドミルテストを行い最大走行距離の測定を行ったところ,野生マウスに比較してNr2欠失マウスでは有意にその距離が短かった.また,予備的な解析結果より運動負荷により骨格筋Nrf2の賦活化と標的遺伝子の誘導も確認された.また,NAFLDの予防と治療の医療的立場より,Nrf2を賦活化する機能性食品成分であるスルフォラファンの骨格筋Nrf2の賦活化を介した運動機能の改善にも検討を加えた.スルフォラファンを投与した野生マウスと非投与の野生マウス,スルフォラファンを投与したNrf2欠失マウスにトレッドミルテストを行い,同様に最大走行距離の測定を行った.その結果,スルフォラファンを投与した野生マウスにおいてのみ,最大走行距離の増加が認められた.これらの結果より考えて,Nrf2賦活化による抗酸化ストレス応答は,骨格筋の運動能力の向上に重要な役割を演じていると考えられた.
|