研究課題/領域番号 |
23300251
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久野 譜也 筑波大学, 体育系, 教授 (70242021)
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研究分担者 |
北川 博之 筑波大学, システム情報系, 教授 (00204876)
前田 清司 筑波大学, 体育系, 准教授 (30282346)
田邉 解 筑波大学, 体育系, 研究員 (70375484)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 身体活動 / 行動変容 / 情報通信技術 |
研究概要 |
我々は、これまで地域での取り組みにおいて運動の実施が、中高齢者の寝たきりやメタボリックシンドローム予防に効果的であり、これを数年間にわたって継続すると医療費の抑制効果もみられることを示してきた。一方、①これらの効果は自分の努力や効果が「見える化」されていると達成しやすい、②運動開始したものの、継続できないなど行動変容困難者が1年後で30%前後存在する、③これまでの運動実施者の大部分は健康度が比較的良好以上の対象者であり、健康意識の低い層及び生活習慣病予備軍の参加は少ない実態も明らかとなった。そこで本研究では、長期にわたって運動継続を可能とすると同時に、これまで行動変容が困難であった層でも可能となる運動を生活に取り入れるための行動変容支援技術及び支援システムを開発することを目的として、研究を進めてきた。 本年度においては、個々状態のセグメンテーションから、数理計画(整数計画法)に基づく個人に適した組み合わせ最適化プログラムを提供するために、運動と食事指導を中心とした保健指導プログラムが自動的に作成されるアルゴリズムを搭載した行動変容知能化エンジンを開発した。また、セグメンテーションされたデータ及び高機能歩数計を通じて収集される日々データに基づき知能化エンジンが自動的に感知し、目標達成に反する行動が認識された場合には、生活行動の課題が何であるかその情報を「見える化」し、対象者の携帯メールに、「気づき」の内容及び修正されたプログラムが、自動的に発信されるシステムの開発まで至っており、健康意識の低い層の行動変容をうまく達成させることが可能となった。25年度においては、介入実験により知能化エンジンによる自動プログラム発信システムの検証を行うことを目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実施計画に基づき、中高齢者2000人以上を対象にデータベース構築を完了した。さらに、自然科学的(血液、体力、身体活動量、食事摂取量等のデータ)データの収集において初年度の目標である1000人のデータを収集した。また、社会科学的(ヘルスリテラシー、セルフ・エフィカシー、生活及び就労環境、行動変容ステージ)等データの収集においては、初年度目標である1000人を上回る2000人以上のデータベースが蓄積できた。これらの、自然科学及び社会科学の総合的データベースは、生活習慣病予防のための行動変容プログラムの自動作成アルゴリズム及び行動変容状況の「見える化」システムを開発のための基礎となり、25年度からは、これらのデータベースから得られたエビデンスに基づいて、検証実験が可能になった。そのため、本年度の達成度については当初の計画以上に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの地域での運動実施者の大部分は健康度が良好であり、健康に対する意識が高い集団である。健康意識の低い層及び生活習慣病予備軍の参加は少ない実態からも長期にわたって運動継続を可能とすると同時に、これまで行動変容が困難であった層でも可能となる運動を生活に取り入れるための行動変容支援技術及び支援システムを開発が重要である。本年度においては、生活習慣病予防のための行動変容プログラムの自動作成アルゴリズム及び行動変容状況の「見える化」システムの開発を行う。具体的には、24年度の研究成果によって構築された自然科学および社会科学的データベースに基づいて、生活習慣病予防のための行動変容プログラムの自動作成アルゴリズム及び行動変容状況の「見える化」システムを開発すると同時に、①生活習慣病・生活機能病予防のための個別プログラム作成アルゴリズムの開発 ②継続支援のためのサポート要因の抽出と個別プログラムの最適化 ③継続支援のためのサポート要因の抽出と個別プログラムの最適化 ④個別データの認識頻度と継続性の関係について、3ヵ月間の介入による実証検証を行う。
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