研究概要 |
BRCA1-関連蛋白(BRAP)の遺伝子多型は、心筋梗塞患者での疫学調査により見出され、冠動脈の炎症が、その機序として指摘されている。また、Toll様受容体4(TLR4)については、炎症反応におけるサイトカイン誘導を介する動脈硬化に関連するとされ、心筋梗塞や心筋梗塞後の心不全との関連が報告され、近年ではメタボリック症候群、耐糖能異常、脂質代謝異常にも関連が報告されている。アポリポタンパク質B(APOB)遺伝子についても、高コレステロール血症との関連が報告されており、注目を集めている。しかしながら、日本人における調査はほとんどなく、縦断的な検討もなされていない。そこで、本研究では、日本の一般人において大規模かつ長期間にわたる縦断調査を行い、これらの遺伝子の、生活習慣病の発症との関連を明らかにし、生活習慣や、すでに測定した遺伝子多型との影響を比較し、さらに、遺伝子同士の組み合わせによる相互作用を予防医学的に評価することを目的とした。本年度は、TLR4 (rs76014534, rs200276033, rs4986790, rs148638298, rs4986791)の測定の一部が終了した。結果として、男性50人、女性44人の測定をしたが、全員がそれぞれ、AA型(rs76014534)、GG型(rs200276033)、AA型(rs4986790)、CC型(rs148638298)、CC型(rs4986791)で多型性は現時点では認められなかった。今後は、さらに分析を計測して終了させるとともに、APOB遺伝子についても測定を進め、昨年測定したBRAP遺伝子の結果をあわせ、生活習慣との交互作用を含めて、高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症、高γGTP血症などについて横断的、さらに縦断的にも関連性の検討を進めている。
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