研究課題/領域番号 |
23300255
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村木 里志 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (70300473)
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研究分担者 |
福田 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 主任研究員 (20357891)
福元 清剛 静岡大学, 工学部, 助教 (60600129)
齋藤 誠二 松江工業高等専門学校, 人文科学科(保健・体育), 助教 (70452795)
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キーワード | 筋肉 / 超音波 / 老化 / 介護予防 / 歩行 |
研究概要 |
本研究は下肢筋プロポーションの(1)加齢変化、(2)各種生活動作の可否との関係、(3)移動動作(歩行などのモーション)との関係を明らかにすることである。初年度はこれらの研究の土台を構築するために、超音波筋量計測システムを拡張するとともに次年度以降の準備を進めた。 1)下肢の各筋(大腿部・下腿部の伸筋群・屈筋群)の筋横断面積の計測システムの再構築 これまで我々研究グループが開発してきた超音波筋量計測システムは、高齢者や要介護者でも安楽な姿勢で短時間に大腿部の筋面積を高精度に計測できる(Fukumoto et al.2011)。しかしながら、当装置は大腿部仕様になっていること、被験者によっては伸筋群や屈筋群の組織境界を識別できない場合があることなど課題があった。本年度はこの問題を解決するために、まず従来の計測システムを下腿部計測にも対応できるよう拡張(組織圧追の補正式の導入)するとともに画像合成を。さらに高鮮鋭な画像が得られる超音波装置を導入することによるシステムの再構築を行った。超音波プローブや画像出力仕様に応じて諸要素の最適化を行った。その結果、従来の計測システムと比べ組織境界が明瞭になるとともに、下腿部にも対応でき、目的とする下肢筋プロポーションの計測を可能にした。 2)次年度以降の研究の準備(下肢筋プロポーションと歩行動作との関係) 次年度以降の研究を見通し、健康な若年者男女30名を対象とし、下肢筋プロポーションと平地上での歩行動作との関係を検討した。歩行動作は8台の赤外線カメラによる三次元動作解析によって計測した。下肢筋プロポーションと歩行動作の一部のパラメーター(膝関節角度の可動範囲、足関節底屈速度等)に有意な関係が認めら、本研究の将来性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とする下肢筋プロポーション計測システムの拡張はほぼ達成したが、一部課題が残った面があった。一方で予定より早く、下肢筋プロポーションと歩行動作との関係の検証を進めることができた。よって、総合的に(2)と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初は高性能の超音波装置一台を導入し、研究代表者および分担者間でその装置を共有して研究を進める計画であった。しかし、研究の中心となる研究分担者が遠方の大学に赴任したために装置の移動が必要になり、一方で事務手続きの面で必要なときにすぐに装置を移動できず、効率的に研究が行えていない問題が生じている。また移動には故障の危険性も伴う。そのため、従来の超音波装置を用いた計測システムの拡張も本研究の一部に加え、複数の超音波計測システムを用いて研究を実施していく。従来の計測システムの場合、下肢筋プロポーションの計測値が一部欠ける可能性があるが、大腿/下腿比などの有用な数値が得られることから、従来計測システム装置を用いた成果も加えていく予定である。
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