研究課題/領域番号 |
23300256
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
金久 博昭 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50161188)
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研究分担者 |
吉武 康栄 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (70318822)
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 助教 (20574205)
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キーワード | オーバーロード / 筋電図 / 自重負荷エクササイズ / 筋機能 / 体幹筋群 / 大腿筋群 / ワンレッグスクワット / %EMGmax |
研究概要 |
個人のライフスタイルに見合う自重負荷エクササイズプログラムの確立を目指し、平成23年度は、若年男性を対象に、日常生活中の長時間筋電図および身体活動量の計測、ならびに椅子の坐り立ち、階段歩行、歩行、多方向への体重移動、腕立て伏せ、上体起こし、上体そらし、脚挙上等の動作並びに自重負荷トレーニングとして一般に普及している各動作実施中の筋電図を計測し、それらの分析結果に基づき、筋のトレーニングとして、オーバーロード(過負荷)の条件を満たしうる自重負荷動作の実施条件の明確化を目的とした。筋電図は、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、脊柱起立筋、中殿筋、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、大腿二頭筋の10筋より導出した。各筋の放電量は、それぞれの筋が主働筋となる動作での最大随意収縮中の筋放電量によって正規化(%EMGmax)し、動作中の筋活動水準の指標とした。なお本研究では、%EMGmaxが60%を越える動作について、筋のトレーニングとしてのオーバーロードを満たす動作と判断した。その結果、若年男性の場合に、上体起こしでは腹部の筋に対しオーバーロードを満たすまでには至らず、上体と脚を同時に上げ下げする動作によって、腹部の筋の活動水準は60%EMGmax以上になることが明らかになった。一方、上体そらし動作では脊柱起立筋に60%EMGmax前後の値が観察され、背筋群のトレーニング動作としての有効性が伺えた。また、下肢筋群が主働筋となる動作として、スクワット(膝関節の屈曲伸展)動作がオーバーロードを満たすと考えられたが、中殿筋、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、大腿二頭筋のいずれの筋においても平均で40%EMGmax以下であった。同様に、階段昇降動作においても、それらの筋の活動水準はオーバーロードを満たすものではなかった。それに対し、ワンレッグスクワット(片脚での膝屈伸動作)では中殿筋および大腿各筋群に60%EMGmax以上の活動がみられ、その活動水準は他のいずれの体重移動動作よりも高く、若年男性であっても下肢筋群のトレーニング動作となりうることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、1)日常生活中の筋活動水準および筋活動量と身体活動量との関係、2)自重負荷エクササイズの実施要件が、実施中の筋活動水準および筋活動時間に及ぼす影響、および3)筋量および筋力のトレーニングとしてのオーバーロードの条件を満たす自重負荷エクササイズの実施条件を明確にすることを目的とした。そのなかで、1)については、データの処理方法に課題を残し、また全体として予定の被検者数を確保することができなかったが、2)および3)については目的を達成できたと判断できる結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、最大随意収縮時および自重エクササイズ時における筋放電量の計測システムの確立および対象動作の規定等に多くの時間を要し、予定した被検者数を確保できなかった。しかし、動作の実施条件およびデータの採取・分析に関わる問題点は、平成23年度の研究遂行において解消できたため、平成24年度は、性・年齢および運動習慣の有無等ライフスタイルの異なる被検者を対象に、平成23年度の実験結果の追試を行う。また、平成23年度の実験結果に基づき、自重負荷エクササイズからなる運動プログラムを作成し、運動習慣を持ち日々の身体活動水準が高い群とそうでない群に適用し、その効果の実際を確認する。
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