【具体的内容】 総合型地域スポーツクラブ(総合型クラブ)に維持期心疾患患者を対象にした運動療法プログラムを導入し、その成果を検証した。対象は、安定した心疾患患者17名。対象は、週1回、平均24か月間、総合型クラブの運動療法プログラムに参加した。プログラムの内容は、集団スポーツ(卓球)を基本とした。測定項目は、プログラム中の事故、研究期間中のイベントおよび心機能(左室駆出率)の1年間の推移とした。研究期間中、プログラムを完了できた者は9名(53%)であった。プログラム中に生じた心事故は1件、整形外科的な事故は0件であった。期間中に1名が死亡し、2名が再入院した。心エコーを実施できた6名の左室駆出率には変化を認めなかった(51.8→54.0%:ns)。以上から、維持期心疾患患者を対象にした総合型クラブの運動療法プログラムは、医療機関と協働することで、安全に施行できた。 【本研究の意義と重要性】 心臓リハビリが再発予防や生命予後改善に有効であることは明らかである。しかし、本邦ではリハビリ算定日数を超えてリハビリ終了となった慢性安定期の心臓リハビリの環境は十分に整っていない。本研究の遂行により総合型地域スポーツクラブにおける心臓リハビリプログラムの安全性と効果が確認されれば、①心疾患患者が安心して運動を楽しめる環境を地域に整備できる、②心疾患患者の社会的孤立を防ぎQOLを改善する、③医療でもない介護でもない新たな周辺サービスを創出するきっかけとなる等の成果が期待できる。
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