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2012 年度 実績報告書

世代間交流に基づく小規模コミュニティの形成に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23300261
研究機関大阪市立大学

研究代表者

中井 孝章  大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (20207707)

研究分担者 篠田 美紀  大阪市立大学, 生活科学研究科, 准教授 (10285299)
松島 恭子  大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (20132201)
三船 直子  大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (30336929)
長濱 輝代  大阪市立大学, 生活科学研究科, 准教授 (40419677)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード世代間交流 / 幼老統合ケア / 小規模コミュニティ / 回想法 / 高齢者文化 / グランドマザーリング仮説 / 縮小都市 / 宅幼老所
研究概要

本年度は、これまでの世代間交流実践の実績を踏また上で、菅笠づくり及びそれをつくる菅田で有名な近隣住区(小規模コミュニティ)である大阪市南堀江地区において、主要な施設と場所を拠点としながら、昨年度に続き、高齢者世代と親世代主導で、地域の子どもたち(小中学生)と大阪市大の学生3名が菅田での菅田刈りの体験と身近な菅細工・菅工芸品(菅笠)などの伝統工芸を経験した。この地域特有の伝統工芸がもたらす、世代間交流への関心は高く、昨年度以上に多くの地域住民が参加し、そのことでこの小規模コミュニティ形成を促進した。こうした活動は、特定の施設の中での世代間交流では実現することができない規模のものであるが、こうした場所柄を活用して、雨の心配のない日には、菅田横の神社の前やその大樹の下で、多世代の料理作りと複食会(三世代が各々作った料理を一緒に食べ合い、評価する催し)をはじめ、竹とんぼや竹馬などの伝承玩具作り、各世代が作った紙芝居の屋外での実演、大規模な伝承遊び等々を行った。また、自治会館や高齢者施設の中では、屋外行事に参加できない高齢者の方々と小学生が、綾取りをしたり、カルタ作りを行い、カルタ競争をしたりした。今年度も引き続き、施設そのもの、ひいては地域そのものの多世代化に向けて、地区の共有施設(コモンズ)、たとえば自治会館-街区公園-小学校-菅田-菅笠保存会館-神社-高齢者施設を世代間交流を通して結びつけ、小規模コミュニティの活性化を図った。その効果を統計解析等によって分析した結果、5回以上継続的に参加した高齢者のうち、80%以上が生きがいを感じ、約60%が知らない子どもとも話が自然にできるようになった。この実践と並行してK病院において認知症高齢者とその子息と大学生・大学院生等による回想法を実践したが、開始から4~5ヶ月後のバウムテストでHDS-R及びMMSEスコアが著しく向上した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

場所柄に拘る、地区の主要拠点を空間移動しながらの、世代間交流実践は、室内だけのそれとは異なり、地域住民をも巻き込んで拡大していけることにより、交流のためのさまざまな人的資源を発見・発掘することができた。閉じた空間における従来の世代間交流ではできなかったダイナミックな活動(伝承遊びやものづくり)をグループ単位で行うことができるため、研究は予想の外、進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本研究課題の実践そのものは順調に進捗しているので、研究計画に変更はないが、強いて挙げるならば、世代間交流への参加者の大半が小学生に限定されるので、もっと多く、中学生、高校生、大学生の参加を促進する必要性を感じている。本年度は、数名の大学生に参加してもらったが、高齢者や小学生に対する支援という点で絶大な効果がみられた。しかも、大学生は実践記録を作成し、まとめることもできる。また、世代間交流実践の効果について参加している高齢者の方々の感想や評価をインタビュー法や質的研究法ですくい上げていく必要性を痛感した(高齢者はアンケート調査が苦手であるため、質的研究法を的確に用いることが不可欠である)。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 高齢者介護と多世代交流・共生2012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: 103 ページ: 82-88

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Children's Safety and Security in a Risk-laden Society2012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 雑誌名

      大阪市立大学大学院生活科学研究科附属児童・家族相談所紀要

      巻: 26 ページ: 1-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高齢者介護と多世代交流・共生2012

    • 著者名/発表者名
      篠田美紀
    • 雑誌名

      大阪市立大学大学院生活科学研究科附属児童・家族相談所紀要

      巻: 26 ページ: 35-42

    • 査読あり
  • [学会発表] 世代間交流の空間論的転回―ハードウエアからの改革論―2012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 学会等名
      関西教育学会第64回大会
    • 発表場所
      奈良女子大学
    • 年月日
      20121110-20121110
  • [学会発表] 軽度アルツハイマー型認知症高齢者に対するグループ回想法の効果検討―バウムテストに表れる自尊感情の変化について―2012

    • 著者名/発表者名
      篠田美紀
    • 学会等名
      日本心理臨床学会第31回大会
    • 発表場所
      愛知学院大学
    • 年月日
      20120914-20120916
  • [学会発表] 「はつらつ脳活性化モデル教室」の心理的効果の検討2012

    • 著者名/発表者名
      岩本友希, 篠田美紀, 中西亜紀, 岸本久仁, 細井舞子, 吉村高尚, 三木隆己
    • 学会等名
      日本公衆衛生学会第71回大会
    • 発表場所
      山口市民会館
    • 年月日
      2012-10-24
  • [図書] 多胎児支援の現在―祖父母力と多胎児サークルの力―2013

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 総ページ数
      106
    • 出版者
      大阪公立大学共同出版会
  • [図書] インタージェネレーションとグレートマザーリング2012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      大阪公立大学共同出版会
  • [図書] 忘却の現象学2012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 総ページ数
      99
    • 出版者
      三学出版
  • [図書] ケア3・02012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 総ページ数
      141
    • 出版者
      日本教育研究センター
  • [図書] 配慮(ケア)論2012

    • 著者名/発表者名
      中井孝章
    • 総ページ数
      299
    • 出版者
      大阪公立大学共同出版会

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公開日: 2014-07-24  

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