研究課題/領域番号 |
23300262
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
上村 協子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (00343525)
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研究分担者 |
藤野 次雄 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 特任教授 (10117757)
江原 絢子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 客員教授 (40256285)
萩原 なつ子 立教大学, 社会学部, 教授 (50279717)
清水 理子 (片平 理子) 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (70204427)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 消費者教育 / アクティブラーニング / 金融経済教育 / 和食 / 食品ロス削減 / 中国・台湾 / 家事経済 / 学修成果の可視化 |
研究概要 |
持続可能な消費のための教育(ESC:Education for Sustainable Consumption)は消費生活の現場を改善するための実践的学び生涯学習である.平成25年度は大学における消費者教育をアクティブラーニングとして体系的に捉えることとした。①アクティブラーニングを主体形成のための能動的学びと定義し②和食がユネスコの文化遺産に登録されたことと関わりながら大学における食のアクティブラーニングについて3つの事例を試行し③国内・国外での金融経済教育の動きをもとに、2012年に続き台湾との比較調査や日本の家計管理など学校教育を通じた生活主体形成教育の流れと意義を整理した。 事例1(上村協子)家庭生活の経済的研究を行った3名の女性経済学者の系譜を解明。大正期日本の家政学のなかで、松平友子が家事経済学で無償の経済について論じ、戦後、大学の家政学部で伊藤秋子実証的な家庭経済学に発展させ、御船美智子が生活創造時代の生活協同にむけた生活者の経済の理論形成をしている流れを整理した。 事例2(江原絢子)ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された日本人の伝統的食文化としての和食は「社会的慣習」としての食文化を指している。和食テキストを使った際の理解度とその内容について調査を行った。 事例3(片平理子)神戸旬菜(地元の野菜)を使った新しい製品を開発し地域住民のためのイベントで販売する活動が学生に与えた影響を報告 事例4(山岡義卓)横浜の都市農業に注目して市内のレストランや消費者に横浜の地場の野菜を届ける活動をしている事業者の応援プロジェクトに参加した学生の活動を検討 事例5(藤野次雄)日本と中国・台湾の家庭や学校での金融教育の違いをアンケート調査によって明らかにした。事例6(萩原なつ子)フィンランドの消費者市民教育ヒアリング調査を行った。平成25年度報告書作成
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本型ESC法構築サイクルを継続して実施してきた。平成23年度生活文化ESC方法の開発に5つの試行事例を取組の柱とした。平成24年度は、消費者教育推進法をはじめ消費者行政に大きな動きがあり本研究でも、国内外の消費者政策を分析することとして、個人・家族・地域・国家・生活圏・グローバル経済という空間的な検討を行った。平成25年度は大学における消費者教育をアクティブラーニングとして体系的に捉え、若者が地域の持続可能な消費生活にポジティブ・コミットメントするケースを中心に事例を蓄積してきた。また家庭生活の経済的研究の系譜から、持続可能な消費生活に関する理論の変容を検討した。現代生活を対象として大学においてアクティブに地球規模と同時に地域でESCが展開される動きを可視化してきた。
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今後の研究の推進方策 |
2014年「国連持続可能な発展のための教育(ESD)の10年」の最終年であり、国際会議が開催される。平成23年度~25年度の活動のうち、食文化を中心とする活動(食品ロス削減や震災復興支援を含む)は、ESDの活動に近い。これまでの生活文化ESCの食領域の成果をとりまとめる方向を検討する。また、金融経済教育の推進の流れは、国際的動向も含め、若者の生活設計・生涯学習との関係を強めている。 平成25年度までの成果を、平成26年度いかに取りまとめるか事例担当者での合意形成を7月の会合で行う予定である。
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