研究課題/領域番号 |
23300264
|
研究機関 | 財団法人 労働科学研究所 |
研究代表者 |
松田 文子 財団法人 労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (40399340)
|
キーワード | 参加型 / 職場改善 / 作業負担 / 人間工学 / 介護労働 |
研究概要 |
介護労働における作業改善には様々なアプローチの方向があるが、主には、利用者への利便性に特化されており、介護労働従事者の負担軽減に直結するものや、それを他の職場に良好事例として「水平展開」できるような改善事例は多くない。本研究の最終的な目標は、介護者が身近な作業の小改善を積み重ねてストックし、そして同業者が相互に参照利用できるサポートシステム(遠隔型改善コンサルテイションネットワーク)の構築を行い、介護産業における情報交換の場として自立運用される土台を創出することである。その第一段階として、支援機器・サービス関連企業と研究者が同一のプラットフォームで参画する遠隔的コンサルテイションシステムのパイロット版を試作し、運用を試みた。企業側の参加は、寝具メーカー、コミュニケーション端末の開発など7社であった。同時に、参加企業の製品開発、試作などの過程において連携する研究者15名の参加協力を得た。パイロット版では、それぞれの企業に対して、製品開発、試作の過程において発生する相談に応じる担当研究者(2~3名)を割り当て、企業と研究者が連携する仕組みを構築した。 2011年11月~2012年3月までの試行期間中、のべ61個の相談がアップされ、1つの相談に対する回答数は1~9個とばらつきがあった。解決までの期間は内容によって長短があり、長いものでは1ヶ月を要している場合もあったが、多くは5日程度で解決していた。参加した企業からは、シンプルな造りなのでマニュアルがなくても操作できるなどの意見が得られた。参加した研究者からは、相談や回答があった旨をメールで通知する仕組みが欲しい(実施期間内に機能追加)、相談が時系列ではなくツリー構造になっているとよい、的確な回答ができない場合に研究者同士で議論する場を充実したほうがよいなどの意見が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力先のフィールドとの関係で、当初、23年度に行う予定であった介護事業所での調査を24年度へ先送りし、先に、24年度に実施予定であった介護・医療に関連する企業と専門家との連携に着手することとした。その調整に若干の時間を要したため、全体的な進展としてみると、やや遅れていると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
3年間の研究計画は、当初に想定したものとは、進め方の順番が異なっている。23年度は、研究協力先のフィールドとの関係で、23年度に行う予定であった介護事業所での調査を24年度へ先送りし、先に、24年度に実施予定であった介護・医療に関連する企業と専門家とのネットワーク作りに着手した。現在、そのネットワークシステムの試験運用が終わった段階である。最終年度に向けて、研究協力先、連携研究者との連携を強め、研究の各パートの成果が出揃うように、調整していく。
|