研究課題/領域番号 |
23300265
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
芝崎 学 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (00314526)
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研究分担者 |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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キーワード | 皮膚血流量 / 紫外線 / 赤外線 / 温度感覚 |
研究概要 |
皮膚血管の拡張は、温度そのものによる直接的な拡張に加え、感覚神経や自律神経を介した神経伝達物質による伝播による拡張がある。そのため、皮膚血流量をスポットで測定するだけでなく、比較的広範囲に測定することによって、赤外線および紫外線の直接的、間接的影響について検討する必要がある。そのため、新規に非接触型の血流画像化装置を購入し、赤外線および紫外線照射時の皮膚血流量反応メカニズムを明らかにするために、研究に取り組んだ。研究題目にも含まれる「熱中症予防」を想定し、人工太陽照明灯、キセノンランプとハロゲンランプの合成ランプを用いて、それぞれにフィルタを装着して限りなく太陽から照射される紫外線スペクトルに特化できるように調整することを試みた。後者に関してはハロゲンの特性に関連する波長が非接触型血流画像装置の測定領域と干渉することが明らかになり、キセノンランプのみを用いて、紫外線領域に特化させることに変更することとなった。各種フィルタの組み合わせにより紫外線領域以外の波長の抑制はできたが、それでも赤外線領域の波長を完全に消失させることはできないために、照射時に2-3℃の皮膚温の上昇が認められた。そのため、紫外線照射実験のアプローチが必要であると考えられ、平成24年度以降に再度ヒトを対象とした実験においてプロトコールを変更する必要がある。 非接触型温熱装置の開発は予算的な制約のため、マニュアル操作で古典的手法による温熱感評価実験を実施し、来年度のための基礎実験とする。対象となる接触型温熱装置をレンタルし、基礎データの収集を試みた。単純な温冷感を検討するのには十分な装置ではあったが本研究が目指すわずかな温度感覚の変化を検討するためには新たな評価手法を確立する必要性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光刺激用装置からの波長が皮膚血流画像測定装置の測定領域と干渉したために、当該波長領域をレンズフィルタで回避することにし、その確立に時間を要した。そのため、当初予定していたヒトを対象とした実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
刺激方法に改善はみられたものの、紫外線照射刺激中に赤外線領域の影響で皮膚温が若干上昇することが判明し、実験アプローチを模索する必要がある。現在、温度上昇に関連するデータを取得しており、計画当初よりは実験アプローチの修正が必要となるが、主たる目的は達成できるものと考えている。 既存の温冷感覚を刺激する装置による定量的な評価が確立されていないために、現在、基礎研究としての評価方法を確立しようとしている。概ねその方向性が見出されたことから、上記理由によるアプローチの修正はあるものの、研究計画を進めることができそうである。
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