研究課題
本研究の目的は、熱中症予防のための衣環境を提言することである。体温調節は、皮膚温度受容器によって身体周辺の温度を感知するため、衣服は外的刺激に対する防護をする一方で、情報を遮断してしまうこともある。温度受容器の活性化と皮膚の熱放散反応は密接に関係しているが、その相互作用メカニズムは不明である。当該年度は、人工太陽光照射後の皮膚血管反応・温度感覚実験を実施した。また、熱中症の症状の一つである熱失神には脳血流調節が重要であるとの報告もあることから、暑熱負荷時の脳血流調節についても検討した。紫外線の影響を検討するため、偏光レンズ・フィルム、UVカット布地、UVカットクリームを用いて検討した。前年度の結果である紫外線による皮内ヒスタミン濃度増大から、太陽光照射による皮膚血管拡張は赤外線の影響でだけでなく、紫外線の影響も存在すると思われたが、非接触型皮膚血流画像装置ならびに接触型皮膚血流計いずれによる評価においても、太陽光照射直後においては、紫外線の影響を検出することはできなかった。しかし、紫外線透過レンズを用いて照射した部位では、照射翌日においても皮膚血流量は明らかに高いレベルを維持した。さらに、温度感覚も紫外線透過レンズ側で加温に対してのみ敏感になることが観察された。本研究の結果は太陽光照射直後では紫外線の影響よりも赤外線の影響が温度感覚にも皮膚血流反応にも影響することが示された。紫外線照射による炎症反応が翌日の高い皮膚血流量に影響したと思われるが、常温や冷却認知に影響はなく、加温時の高温認知および痛みに対する温度閾値の低下のみに紫外線の影響が認められた。また、市販のUVカットウェア(UPF50)においても紫外線カットレンズと同様の効果が認められた。暑熱負荷時に頭部への血流配分の変化が認められ、被服による脳血流調節の可能性が伺われた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
Journal of Applied Physiology
巻: in print ページ: in print
Journal of cerebral blood flow and metabolism
巻: 33 ページ: 1915-1920
10.1038/jcbfm.2013.149. Epub 2013 Aug 1