研究課題/領域番号 |
23300272
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
的場 輝佳 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (10027196)
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研究分担者 |
北尾 悟 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (40150081)
安藤 真美 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (50234183)
高村 仁知 奈良女子大学, 研究院生活環境科学系, 准教授 (70202158)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 調理と機能性成分 / 食品物性 / エコロジー / エネルギー / 調味料 |
研究概要 |
環境問題に対する意識の高まる中、環境に優しい食生活を目指す動きが盛んになっている。しかし、食品の「栄養性」「嗜好性」「機能性」が損なわれるようでは意味がない。本研究では、環境に優しい食生活を実現するため、機能性および嗜好性を維持できる、正しい「エコロジー調理」を提言することを目的として研究を遂行した。 平成24年度は、調味料を用いる調理が機能性および嗜好性に与える影響について検討するため、物性を同じ状態にした調理品を試作し、調理法の違いによる消費エネルギー量を算出するとともに、調理操作の違いによる機能性の差異を解析した。試料として、ジャガイモを用い、調味料として食塩もしくはショ糖を用いた湿式調理である「煮る」操作を選定し、ガスコンロおよび電子レンジを用い、調理器具と蒸らし操作の有無を組み合わせた8種類の調理法について比較した。アルミ鍋水煮における破断応力値を基準とし、他の調理法における調理時間を決定した。物性をクリープメーターにて測定し、消費ガス量・電力量から、二酸化炭素排出量及び消費一次エネルギー量を算出するとともに、抗酸化性、アスコルビン酸量をそれぞれ測定し、比較・検討した。 8種類の調理法で破断応力がほぼ同様の試料を得た。二酸化炭素排出量と消費一次エネルギー量は、食塩を用いた場合、電子レンジを用いた調理で増加する傾向にあった。また、蒸らし操作や電子レンジ予備加熱は二酸化炭素排出量の削減に効果的であった。また、抗酸化成分およびアスコルビン酸は、食塩を添加した場合、圧力鍋を用いた調理、電子レンジを併用した調理で残存率が増加する傾向にあり、二酸化炭素排出量を考慮すると、電子レンジを併用した調理が望ましいと考えられる。ショ糖を添加した場合、アスコルビン酸の残存率が低下する傾向にあったが、電子レンジ内でスチームバッグを用いて加熱した後、蒸らす調理が望ましいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調味料を用いた調理について、基本調味料である「食塩」および「ショ糖」については研究を遂行することができたが、当初予定していた「醤油」および「みりん」まで進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、調理に使用するエネルギーを削減する「省エネルギー調理」のうち、水を用いる調理(湿式調理)において、実際の調理を踏まえ、発酵調味料である「醤油」や「みりん」などを用いた場合に、調理方法が機能性および嗜好性に与える影響について検討する。 (1)まず、湿式調理のうち、「醤油」や「みりん」などを用いた「煮る調理」について、以下の検討を行い、基礎的なデータを得る。①加熱方法として、慣行加熱(鍋などによる加熱)、電子レンジ加熱、余熱加熱(加熱時間を短縮し、余熱を利用)などを行う。加熱機器については、ガスレンジなどを用いて比較する。また、電子レンジによる予備加熱の利用、余熱利用における保温機器の利用などについても検討する。②試料として、均質なものを入手しやすい「ジャガイモ」を用い、それぞれの加熱法における標準的な加熱条件を求める。標準的な加熱条件は物性測定と官能検査によって、最適な物性および食感が得られた時間とする。③それぞれの標準加熱条件における所要時間と所要エネルギーを算出する。④それぞれの標準加熱条件における機能性および栄養性の測定を行う。 (2)(1)で得られた結果を基に、さまざまな食材について、あるいは各種の調味料を用いて、「煮る」調理を行い、最適な加熱条件の決定、必要エネルギー、機能性、栄養性、嗜好性の測定(官能評価を含む)を行い、「省エネルギー調理」の影響を解析する。
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