本年度は、時間栄養学と時間運動学の接点の研究を拡大していくことにした。まず、45%脂肪の高脂肪食を負荷した状態で、(1)自由に輪回し運動にアクセスできる状態、(2)アクセスできる時間を1日4時とし、マウスにとっての朝、昼、夕に設定する。このときどの時間帯の運動が一番抗肥満効果が見いだせるかを調べた。その結果、夕運動が体重増加を抑制した。夕運動群を詳細に調べると、朝に摂食行動が盛んであることが分かった。すなわち朝から昼に食事をし、夕方運動することで、肥満用が起こることが分かった。一般的に、マウスの食パターンは夜間の最初に大きく、明け方は少なめの摂食活動を示す。このような食事パターンが、運動負荷によりどのように変化するか否かを調べた。つまり、朝運動+夕食事、あるいは、朝食事+夕運動などの組みあわせが出来る可能性があり、運動と食事のタイミングの組み合わせが、肥満予防に良い可能性が考えられる。実際、朝食事+夕運動は抗肥満効果を示した。次に食事と運動の順番効果を明らかにすべく、運動時間を昼間に固定し、餌を運動の前に与えるか、あるいは運動後に与えるかの2つのグループを用意した。この場合は餌は4時間の時間制限を設定することにより、運動と食欲との関係も調べることが可能となる。朝食後昼間の運動群は、逆の昼間に運動後夕食群より、顕著な抗肥満効果が見いだせた。運動と食事パターンの組み合わせ状態で、代謝ケージによりエネルギー代謝や呼吸商も計測し、これらのリズム性発現に対する影響についても調べた。その結果、夜遅い食事は、呼吸商の低下が起こらず、脂肪の燃焼が弱いことが分かった。すなわち、運動と食事の組み合わせは重要であり、食事後の運動は、摂取したエネルギーの消費に有用であり、特に夕方の運動は効果的であることが分かった。この研究成果は、人へ十分に応用可能である。
|