研究課題/領域番号 |
23300279
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
冨永 伸明 有明工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30227631)
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研究分担者 |
有薗 幸司 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70128148)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 食品 / 生理活性 / マイクロアレイ / 生体分子 / 解析・評価 |
研究概要 |
今年度は,線虫培養培地の改良の効果をDNAマイクロアレイで検討した.基本培地として用いたGrace昆虫細胞培地および本研究で作製した培地それぞれで線虫を96時間培養し,mRNAを抽出し,発現変動遺伝子を比較したところ,Grace培地に比べhSP-12.3ストレス応答遺伝子の発現が有意に減少した,一方で脂質代謝関連酵素の発現が有意に上昇した.このことは,今回作製した培地が線虫の培養に優れていることを示唆する.また,食品機能性成分について抗酸化能を示すフラボノイド化合物のクエルセチン,ルチン,カテキンについて効果を調査した.その結果,これら3化合物はともに線虫の成長を促進することが分かり,中でもクエルセチンが最も高い効果を示すことが分かった.フラボノイドではない抗酸化物質トコフェロールの培地への添加では高濃度において成長阻害が観察されたものの幅広い濃度範囲で培養を行ったが,促進効果は全く見られなかった.以上のことから,成長促進作用は,抗酸化能を持つフラボノイド化合物に特有なものであると肝が和えられた.また,クエルセチンおよびルチン添加培地で培養した線虫の遺伝子発現状態をDNAマイクロアレイで解析したところ,クエルセチンはルチンで発現が変動した遺伝子をほぼ包括し,かつ,より多くの遺伝子の発現を変動させていた. このことは,ルチンで発現が変動していた遺伝子が成長促進効果に基本的に必要なものであり,クエルセチンのみで変動している遺伝子が加わることで成長促進の効果を高めていると考えられる.また,昨年度に引き続き,微量元素の効果の検討を行ったところ,Znの最適濃度を決定できた.また,CuおよびZnのDNAマイクロアレイ解析を行い,データの収集を終了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線虫を成虫まで成長させられる培地がほぼ完成でき,数種類の微量金属の有効量の測定が可能であることが分かった.また,その培地を用いて食品の機能性成分のいくつかを成長等指標でin vivo評価行い,いくつかのフラボノイド化合物の有効性が確認できた.また,いくつかの機能性成分添加による線虫における遺伝子発現変動解析もDNAマイクロアレイを用いて行い,データの収集は行えている.また,本研究の成果をもとに特許出願を最終年度4月に行ったことから,おおむね順調と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
培養培地もほぼ完成できた.当初計画に従い,微量元素および食品の機能性成分の評価を行ったが,これまでに行ったDNAマイクロアレイのデータの遺伝子発現変動データのリアルタイムPCR等による検証を行うとともに,医薬品および複合影響を含めた新規の条件についても検討を行い,研究の目標達成に努める.また,特許出願を行うために実証データの外部発表を控えていたが,最終年度当初(4月)に出願を行ったことから,今年度は成果発表に努める.
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