研究課題
本年度は、多光子レーザー顕微鏡を用いた生命現象の体感的理解教材の技術開発を発展させ、癌などの病気の早期診断治療法を開発した。第一に、米国FDAによりヒト経口摂取認可済みの化学物質約1200種類を正常上皮細胞と癌化細胞の表面に投与し、多光子レーザー顕微鏡による染色画像の差異から両者を区別できる化合物を数種類見出した。これらの1200種類の化学物質の癌細胞染色性を効率的に選別する方法(ハイスループット・スクリーニング法)も考案した。これらの化合物をヒトの消化管粘膜に投与すれば、数個単位の癌細胞を検出・排除することが可能になる。すなわち、直径0.5 ミリ以下の癌細胞集団を検出・排除できる世界最高感度の癌細胞検出・排除技術を確立できた。第二に、この技術は、iPS細胞などの幹細胞から移植用の分化した組織細胞を作成する際、混入する可能性のある未分化細胞・癌化予備群細胞の検出排除にも応用できることが判った。iPS細胞などの幹細胞から移植細胞を作成する場合、混入する可能性のある未分化細胞・癌化予備群細胞の割合は、一般的に、0.1%程度と予想されているが、弱った心臓の補強に必要な移植細胞の数が10億個であり、その0.1%に当たる100万個の未分化細胞の混入を考えると、これらの細胞の排除は、幹細胞再生医療にとって必須不可欠である。これらの成果は日本国科学技術振興事業団(JST)の支援を受け、国際特許として2014年3月末に申請できた。これらの教材データは、特許認可が下り次第、インターネットを通して無料公開する計画である。本研究は、当初の研究計画を着実に遂行しただけでなく、最近特に社会的な注目を集めている癌細胞の超早期検出技術やiPS細胞・幹細胞再生医療の安全性向上に関する新技術の開発にも発展し、大きな成果が得られたと考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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