研究課題/領域番号 |
23300289
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
道法 浩孝 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (90457408)
|
研究分担者 |
伊谷 行 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (10403867)
蒲生 啓司 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (90204817)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 環境教育 / 教材開発 / 自然環境 / 地域人材 / 教員養成 |
研究概要 |
これまでの研究において,土佐の豊かな自然環境(地域資源)の効果的な活用による大学4年間を一貫した環境教育プログラム『土佐環境教育スタンダード』を構築するとともに,その具体的なカリキュラム開発及び検討を,試行的実践とその評価を通して,理論と実践の両面から展開してきた。その結果,開発したカリキュラムが,地域の環境教育をリードする教員としての素養の習得及び学校における環境教育の深化・充実に有効であることを確認した。 上記の成果に基づき本年度は,1年生を対象としてプログラムの本格的実施を行うとともに,2~4年生を対象としたカリキュラムの試行的実践を継続し,その評価・分析を通してカリキュラムの工夫・改善を図った。1年次プログラムの目的は,自然環境を体感することであり,本県の豊かで特徴的な自然環境を構成する海,川,山をフィールドとし,自然体験活動を主体とした授業を,地域で活躍しているNPO,地方公共団体,地域住民の協力を得て実施した。授業実践の評価を事前・事後のアンケート及びレポートに基づいて実施した結果,本カリキュラムが,学生の自然環境及び自然体験活動に関する基礎的知識・技術の習得,自然観察・自然理解に関わる指導力の育成に対し,有効であることを示唆することができた。 2年生を対象としたプログラムの試行的実践においては,「自然観察→実習→知識と技術の統合」という自然観察力養成プログラムの流れを確立するとともに,ものづくり等を効果的に取り入れ,カリキュラムの充実を図ることができた。 3・4年生を対象としたプログラムの試行的実践においては,地域資源を活用した新たな環境教育教材の開発を行うとともに,中山間地中学校における授業研究の充実を図り,受講学生の環境教育教材開発力及び授業実践力の向上に対し,一定の成果を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したプログラムの本格的実施を,1年生を対象に行うとともに,試行的実践を継続し,その評価・分析を通して,プログラムの有効性を示唆する結果を得ることができた。しかし,プログラムの有効性の客観的な評価に課題が残されたため,達成度を②とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでの成果及び課題に基づいてカリキュラムの工夫・改善を図り,1・2年生を対象としたプログラムの本格的実施及び3・4年生を対象としたカリキュラムの試行的実践を継続的に展開する。同時に実践と並行して,カリキュラムの評価を,自然観察力,教材開発力,環境教育実践力の視点から,定量的分析を通して行うとともに,カリキュラムが受講学生の情意面及び認知面に与える影響の分析も行い,本環境教育プログラムの有効性を検証していく。すなわち,本環境教育プログラムが,将来の科学技術教育を担う学生に対し,地域の豊かな自然環境下での自然との関わり及び地域の人々との交流を通して,自然の中で生き,自然を観察する力,自然と共存しながら創意・工夫する力,教材を開発する力,教育する力等教員としての基礎的な素養を養い,実体験を通して培われた自然環境認識に基づく環境教育実践力を身につけさせることが可能であることを明らかにする。さらには,本プログラムが教員の教育力の強化・向上すなわち質保証につながり,ナショナルスタンダードとしての発展性を有していることを追求していく。
|