研究課題/領域番号 |
23300295
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文学部, 教授 (20323199)
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研究分担者 |
葛岡 英明 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (10241796)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 准教授 (20344830)
望月 俊男 専修大学, ネットワーク情報学部, 講師 (50379468)
加藤 浩 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (80332146)
久保田 善彦 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90432103)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 議論スキル / 議論訓練手法 / 共感的思考 / 論理的思考 / 挙動課題解決 |
研究概要 |
前年度は、協同課題解決型議論の訓練手法であるDiscussion Historiogramを用いた振り返り技法を提案した。Discussion Historiogramとは、自分達がおこなった議論の歴史的流れを整理するとともに、その流れの中に発生した感情的な反応を表現するものである。Discussion Historiogramを作成する中で、議論の過程で捨てられた意見や、隠蔽された感情を再度意識化することが可能である。当該年度は、この手法に基づき、以下の活動をおこなった。 1.手法の評価・改善:大学生を対象にDiscussion Historiogramを利用した議論振り返り実践を実施。実践場面の分析をとおして、本手法の検証をおこなった。検証は、茨城大学の学生を対象者として実施した。その結果より、手法の複雑さを改善するとともに学習活動全体のバランス等について見直した。また、本手法の効果を実践場面の分析により検討した。感情的コメントを起点とする振り返りが、議論における検討材料を増やし多方面からの検討を促進することが明らかとなった。 2.訓練支援システムの設計、開発:Discussion Historiogramを利用した振り返り実践を支援するシステムを開発した.支援システムは,議論参加者がタブレット端末上の付箋に議論内容と個人的・感情的な所感をリアルタイムに記入していけるようになっている。振り返り時には、複数の端末を格子状に結合し、1枚の画面のように扱うことが可能となる。このシステムの性能評価を茨城大学の学生を被験者として実施し、システムが仕様どおりに稼働することを確認した。また、本システムにより、Discussion Historiogramによる議論振り返り活動が支援できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
協同課題解決型議論の訓練手法とシステム開発が本研究のゴールである。現時点で、訓練手法としてDiscussion Historiogramを使った振り返り活動を提案し、手法の改善と評価が進行している。手法の効果検証は、小規模な実験によるものにとどまっており、さらなる検証を要するが、後述するシステムの利用実践を通してなされると期待できる。提案した訓練手法の実施を支援するためのコンピュータシステムの開発については、プロトタイプの開発が終了している。このシステムは現時点で、大学の少人数授業で利用可能なレベルで安定稼働している。今後、小中学校の教室における実践を予定している。これらの実践をとおしてシステム改善と、システムを使った学習カリキュラムの提案が可能となると期待できる。 以上より、研究は順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、訓練支援システムを完成させる。現段階では、4枚の端末を2×2の布陣に統合し、相互に画面上の付箋紙を移動できるようになっている。今年度は、このシステムに、端末の統合(接続)布陣に柔軟性をあたえ、1×nを始め、n×mの形態を可能とする。また、端末結合時に、付箋をタイムラインにしたがって並べる機能や、複数端末をあわせて1画面として扱った時に、それを1画面としてプロジェクターで投影する機能等を追加する。このシステムを大学および中学校において利用し、システム機能評価お よび効果検証をおこなう。また、研究のまとめとして、上記システムを利用した協同課題解決型議論訓練を取り入れた学習カリキュラムを立案し公開する。現場の実践者にとってわかりやすく、応用しやすいカリキュラムの立案を目指す。
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